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※クダリ視点




アオイちゃんにヒナちゃんのことを話して、それがたまたまノボリにも聞かれちゃった。


でもヒナちゃんの相手がいるってわかればなにか2人の間で変化があると思ったのに、ぼくの考えている以上に2人は恋愛におくびょうだった。






以前とかわらない2人の関係。

お昼とかいっしょに食べなくなったけど、ノボリがおしごとを今でもアオイちゃんにいろいろとやってもらってるの、ぼく知ってる。





ノボリはけっこう完璧主義なところがある。

だから書類とかも自分でぱっぱと片付けちゃう。


なのにアオイちゃんにやってもらうようにしてるんだから、ちょっとは変化があったのかなって思った。





でもね、やっぱりノボリは恋愛へたっぴ。



(もう全然ダメ!やんなっちゃう!)






「ねぇ、ノボリ、アオイちゃんのこと、どう思ってるの?」

「どう…とは?ハヤマ様には色々と仕事でお世話になっておりますが」

「うーん…じゃあヒナちゃんは?どう思ってるの?」

「っ!?……なっ??!」





ノボリはぼくがヒナちゃんのことを好きってこと知らないと思ってるんだろうけど、ノボリはわかりやすいからそんなの気付かないわけないのに。


そうじゃなくってもぼくたちは双子の兄弟。

ぼくが人の感情に敏感じゃなくったって、そんなのすぐにわかっちゃうの。



(でもきっとノボリはぼくが誰が好きとか、一生わからないんだろうなぁ)







「ク、クダリ!今は執務中です!仕事をして下さいましっ!!」

「はいはーい」







別にぼくはノボリとアオイちゃんが付き合うべきだとはとくべつ思わない。

ノボリにはノボリの気持ちがあるし、簡単には諦められないのも知ってる。



でもやっぱりぼくはアオイちゃんの味方をしちゃうんだ。



(彼女の片思い暦が長いって、知ってる)

(それにアオイちゃんってなんか、すごく妹オーラがあって、放っておけないないんだよねぇ…)






「ノボリー、これ、午前中の書類ね」

「おや、もう全て終わったのですか?」

「うん。そろそろお昼だからインカムに連絡いれてくるー」

「えぇ、お願い致します」










(そうだ、今日はアオイちゃんとお昼ごはん食べよう)



インカムを全トレイン従業員用のチャンネルに合わせながら、ふとそう考えた。





「んー……ぼく、やっぱり悪い子かも」





ぽつりとつぶやいた言葉に誰からも返事はなかったけど、ものすごく悪いことをかんがえて、それを実行しようとした自分に口角があがる。




(少しでも2人に変化が起こればいいんだ)



インカムのスイッチを押し、ぼくは午前のトレイン運行終了を告げた。






ひとときの夢を
きみにあげる




2011.12.12


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