KAHB | ナノ



hb@3


暖かい店内から出たらより一層外が寒くて思わず「さむい!」と声をあげた。

隣を見ると同じく寒そうにダッフルコートに首を埋める。
コンビニ内に食べるスペースが設けてある所もあるけど残念ながらそういうタイプではない。

肉まんは温かくても、外は寒い事を二人して失念していた。

「二人して馬鹿したね」

「はぁ、そうだね」

溜息すら白い。

数日前まで、話したこともなかった二人が、コンビニ前で寒いと立ち往生。

箸が転んでもおかしい年頃とはよく言い表しているなぁと思う。
たまらなく面白くなってしまって笑いだしたら、つられて彼も大笑いして寒さなんてどうでもよくなった。

駐車場の車止めに座ってならんで食べた。ずっとケラケラ笑っていたから肉まんの味はよく覚えていない。




「今日、誕生日なんだよね」

肉まんを平らげ、鞄にあったペットボトルに口をつけながらさらりと言った。

「え?そうなの、聞いてない」

「誰にも言ってないから」

「どうして」

「365分の1のただ生まれたってだけの日を、人のまで祝ってられないし、だったら自分も祝われたくないから。
だから同じように12月20日も過ぎるのかなと思ったら、ちょっと特別だった。」

「私が祝うよ」

「ちょっと待ってて」と言葉を置いて、再びコンビニに駆け込むとプラスチックのひいらぎが刺さったケーキを一掴み、数十秒で戻る。

レジ袋からそれをとりだして「お誕生日おめでとう」と渡すと、彼は大変驚いた顔をしていた。

「あ、ありがとう」

「どういたしまして」









- 7 -


[] | []


×