※寝込みました



「ハザマ」
「何ですか?」
「そろそろいい加減放せ」
「どうしてですか?」
「どうしても」
「特に貴方の邪魔をしている訳でも無いのに?」
「あぁどうしてもだ」

言葉を交わす人物は2人。
どちらも綺麗な鮮やかな緑の髪を持ち、金の瞳をぎらつかせる。(ただ片方は柔和な笑みでその瞳の色は伺えないが)

「理由を聞かせて下さいよ。納得できなければ、放しません」

ハザマはより笑みを深くし、ぎゅうと自分の腕の中に収まっている小さな体を抱きしめた。

「コレだよ!コレ!野郎に抱き締められたって何にも嬉しく無いんだよ俺様は!」
「全く、テルミは照れ屋さんですねぇ」
「どんな思考すればそんな結論になるんだよ!第一、同じ顔をした奴に色々されるなんて面白くないんだよ…」

ぶつくさと文句を呟きながらテルミは幼い体で必死にハザマの腕から逃れようと必死になる。

「もう。無駄な抵抗はよして下さいってば…」
「嫌だね。好き勝手されるくらいなら意地でも逃げてやる」
「そんな体じゃ大した事も出来ないの分かっているくせに」
「誰の所為でこうなったんだか…」

ボソッとテルミが文句を零せば、ハザマは大きな独り言を、まるで誰かさんに聞かせるかの様に話す。

「私が体調崩しているというのに、無理矢理具現化しようとしたのはどこの誰だったんでしょうねー?」

ねぇ、テルミ?と最後に耳元に口を寄せ囁くハザマ。
ビクンと体を震わせ仰け反るテルミをくつくつと喉で笑い、ハザマは言い聞かせる様な説明口調でまた口を開く。

「体調を崩しているからやめて下さいって私は言ったのに、貴方ったら強引に具現化するし。挙げ句の果てに、体調崩した貴方が具現化されるわ幼児化してるわでもう大変。どれだけ私を困らせるつもりなんですかねぇ…?」

ハザマの言う通り、テルミの姿が子供なのは万全の体調じゃないのに無理矢理姿を現そうとしたかららしい。今までそんな経験が無く最初こそ2人とも驚いたが、今では子供姿のテルミをハザマは気に入ったらしく、よく「子供体温っていいですねぇ」と言って抱き締めたりする。(そして冒頭のやり取りへと至る)

「ああもう!お前なんか勝手に困ってろ!」
「えぇ、貴方に振り回されるなら私は大歓迎ですよ」

ああ言えばこう言う。気付いたらあっさり丸め込まれてしまうし、本音を引きずり出されてしまう。口では絶対に勝てないのだ。
だから最後にはこうやって投げやりな回答をして逃げる。まぁ逃げ道すら簡単に塞がれてしまうのだけれども。

「ねぇ、どうしてあんな無茶したんですか?」
「あんなって…何のことだ」
「私が熱出してるのに無理矢理具現化しようとしたじゃないですか」
「あれは、ぶっ倒れてるお前を笑ってやろうと思っただけだ」
「本当にそれだけですか?」
「それだけだ」
「嘘じゃないですか?」
「嘘じゃねーよ」
「心配して看病でもしてくれるのかと期待しちゃいました」
「…………結局、お前に看病させたけどな」
「したかったんですか?」
「したくねーよ!野郎の看病なんか!」
「でも私にはしてくれるんですよね?」
「勝手に言ってろ!!!!!!」



危うく本音を引きずり出される所だった。内心ヒヤリともしたが、絶対に相手は確信している。自分がどうしてこんな無茶な行動をしたのか、その理由を。
だけど絶対に言ってやらない。言ったら負けを認める事になる。

さて、意地の張り合いがお互いどこまで続くか試そうじゃないか。


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ショテルうまうま言ってくれた某方に押しつけたブツ
体調崩したので、丁度良いやこのネタ貰い!ってなったそんなハザマ×ショテル
後半の口論はリアルに某ばななの人との会話から抜粋(笑)







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