士官学校妄想
とろりと、瞼が重たくなるのを感じた次の瞬間には視界に青空しか映っていなかった。そして次に瞼を開いた時には視界一面に先輩の顔があった。
「あの…キサラギ先輩…」
「その、えっと…もう、大丈夫ですから」
「あの…お願いですから、下ろして、もらえません、か…」
必死になって言葉で抵抗するが、段々と語尾に力が無くなってゆく。しまいに深い溜息をつくが、カルルを抱えて運ぶ無口な先輩はピクリとも反応を示さない。
「…キサラギ、先輩。その、ほんと、もう大丈夫ですか…」
突然カルルの語尾が途切れる。今まで全く無反応だった先輩が突然自分の方へ視線を向けていたからだ。
「あの…」
「少し黙っていてくれないか」
放たれた言葉は冷たくて、ゾクリとした。
「それに、必要だからこうやって医務室に向かっているだけだ。歩ける奴にここまでしてやる必要は無いからな」
そう言って一度地面へと立たされるが、足に力が入らずカクンと倒れそうになる。背後から伸びてきた腕がカルルをしっかり抱きとめ、分かったか、と尋ねてくる。それに頷くだけの返事をして、再び抱えられる。自分の体を支える掌の暖かさを感じながら、カルルは瞼を下ろした。
(早く、はやく医務室に着いて下さい。この、胸の音が知られてしまう前に…!)
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カルルたんが体弱かったら萌えるよやぶぇーって勢いで