何日か経って、私はいつも通りの日を過ごしていた。ただ、初回とは違い闇の魔法に対する防衛術は先生が先生なのでまったく楽しみじゃなくなった(むしろ若干恨んでいた)が、差支えのない毎日を過ごしていた。今日も、こうしていつもと変わりなく朝ご飯を食べている。でも一つ違うのは、いつも一緒に食べてるハリーがいない。ロンが言うには、クィディッチの朝練でロンが起きる前から練習に行ってしまっていないらしい。

「今日、見に行ってみる?」
「賛成ね。ハリーは最近とても大変そうだわ」

全くの同感である。ハーマイオニーの言葉に元気よく頷いた。朝ご飯は持っているのだろうか。そうだ、そういえば最近双子にもあまり会っていない。同じ寮なのに、談話室ですれ違う事すらない。夕飯の時に見るけど、それも遅れて入ってきてはすぐに去って行ってしまうので話すどころか目があいもしなかった気がする。それもこれもクィディッチの練習が理由なんだろう。ハリーは学年が同じだから授業では会うし、夕食の時も短時間とはいえなんだかんだ一緒に食べている。でも、ジョージ先輩たちは先輩だし、廊下ですれ違いもしない。まあ、つまりは練習場に行けば会える訳だけど、何故かオリバー先輩が隠したがっているらしいし、自分自身も課題に追われていて時間が作れない。

(…朝ご飯でも見ないし)

もしかしたら大広間に来る時間がずれているからかもしれない。でも、双子はいつ朝ご飯を食べているのだろうか。ハリーは、ロンやハーマイオニーがもって行ったり、自分で時間を作って大広間に来たりするけど…。今から練習所に行ったら会えるだろうか。余計なお世話だろうか。…まあ、もしいらないって言われたら自分で食べればいいし誰かにあげればいいや。小さな袋をとりだして、パンなどを詰める。いくわよ、というハーマイオニーの声に慌ててついて行った。練習所にはすぐに着いた。でも、思っていたようにグリフィンドールの選手たちはそこにいなかった。ロンもハーマイオニーもどこにいるのだろう、と不思議そうにしていた。だがすぐにやってきた選手たちを見つけた。オリバー先輩を先頭にこちらに向かってきたが、一同ぴたりと足を止めた。鉢合せをしたのは、緑のユニフォームを着た一同である。もめそうだ、と言ったロンにハーマイオニーも続いたので私も慌てて立ち上がった。こちらに気付いたハリーが、まだ始まってもいないさ、と小さな声で肩をすくめて言った。私のいる位置から一番向こう側にいた双子を見る。一方がこっちを見て、少しだけ眉を上げて笑ったので、慌てて小さくお辞儀をした。ジョ…ジョージ先輩かな。そうだといいな。そんな傍ら、緑の服を着た上級生がオリバー先輩と話していた。お世辞にもいい雰囲気だとは言えなかった。

「ウッド、これを見ろ」
「新しいシーカー…って、誰だ?」

どうやら、グリフィンドールが練習を予約していたのに、スリザリンが横取りしたと揉めているらしい。新しいシーカーって誰だろ、と私もそちらを見ていると、マルフォイ君が出てきた。ニタリと嫌らしい笑みを浮かべながら、驚いているハリーを見る。新しいのはシーカーだけじゃなく、よくわからないけど箒も新しいらしい。私には違いは分からなかったけど、スリザリンの選手はみんなマルフォイ君のお父さんが買ってくれたそのすごい箒を使っているらしい。すごいなあと思ってみていたら、ジョージ先輩とフレッド先輩の箒を馬鹿にしたのでむっとした。マルフォイ君が良いの持ってるなら関係ないじゃん!それに箒は関係ない!どちらにしろジョージ先輩もフレッド先輩も人間ビーターだし!

「誰かさんの家とはたくわえが違うんでね」

こっち…正しくはロンに向かって勝ち誇ったようなバカにしたような表情でそういったマルフォイ君に、ハーマイオニーが口を開いた。

「こっちは、お金じゃなくて才能で選ばれてるの」

凛とした声で言い放ったハーマイオニーにすごくすっきりした。さすがハーマイオニー!才能が無かったら選ばれるわけないじゃん。むしろマルフォイ君だって才能が皆無だったら選手に選ばれるわけないんだから!君だって同じなんですよ!と思ってたら、マルフォイ君の表情が歪んだ。キッとハーマイオニーを睨んで、そして一言。

「誰がお前の意見を聞いた?この、穢れた血め」

その途端、ざわ、とあたりがざわめき立った。ひどい、とか、よくもそんなことを!とか、グリフィンドールの先輩たちが敵意をあらわにしてマルフォイ君を攻めている反面、スリザリンの選手はよくやった!みたいな、にやにやした表情をしている。ふと双子を見てみれば、今にもとびかかりそうなくらい怒っていたし、スリザリンの先輩が双子からマルフォイ君を守ろうと立ちはだかっていた。え、何が起きたの?よくわからないままでいると、隣にいたロンが杖を構えた。え、え!?よくわからないままロンを止めようとすると、突然ロンが後方に吹っ飛んでいった。慌ててロンのもとにみんなで駆けつける。私も同じで、突然倒れこんで気持ち悪そうにしているロンの背中をさすった。ハーマイオニーが大丈夫、と必死に声をかけていたら、ロンが口からナメクジを吐いた。

「う…」
「ハグリッドのところに連れて行こう!」

あいにくナメクジとかそういうたぐいのものは大っ嫌いだ。気持ち悪いから。だけどそんなの言っている場合じゃない。ロンという友人のためである。自分を言い聞かせて、臨機応変に対応したハリーとハーマイオニーに続いた。



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