クリスマスがやってきた。ハーマイオニーは、冬休みの間は実家にかえるらしい。ハリーとロンは学校に残り、ロンの兄弟である双子とパーシー先輩も、家の都合とかで学校に残るらしい。本当に自分はどうにかしている。以前は家に帰ることを何よりも待ち望んでいて、まさに今がその初めての時だというのに、学校に残るという選択肢を選んだ。ホグワーツでは学校に残る生徒たちでクリスマスパーティが開かれ、豪勢な食事が用意され、大いに盛り上がるという。それが楽しみというのもあったし、何より、ジョージ先輩が残ると聞いたから。
せっかくのクリスマスを、ジョージ先輩と共に過ごしたい、と思ってしまったのだ。

「みんな結構帰るんだね…」
「うん。なまえもやる?」
「チェス?」
「そうだよ。魔法界のチェスだけどね」

ハリーは魔法界で育ったわけではないらしく、私に普通との違いを教えてくれた。今だけでなく、時々補足をつけて説明してくれる。ハーマイオニーもそうだ。ロンや双子は、生粋の魔法使いの家に生まれたらしくて、当然のように魔法のことを話してくるからたまにわからない時がある。だから、ハーマイオニーとハリーの説明にいつもとても助けられていた。

「そうそう、マグルのチェスは動かないんだってね」
「それってやってて楽しいのか?」

突然、同時に私の両肩に手が乗って、両側からそんな声が聞こえた。それを聞いた途端とてもうれしくなって、右と左を交互に見た。

「ジョージ先輩!」
「俺もいるよ!」
「フレッド先輩!」

右側にいる方がそういったので、左がジョージ先輩という事だろう。フレッド先輩はまったく落ち込みを見せずに、いっつもこれだよ、とわざとらしく言った。そんな先輩を見てごめんなさい、と言っているにもかかわらず、笑ってしまった。

「あの、マグルって?」
「マグルっていうのは、魔法を使わない普通の人間の事さ」

ジョージ先輩がそういった。そんなことも知らないの、みたいな顔をロンにされた気がしたけど、確かに今までマグルという単語を何回も聞いた…かも、しれない。たぶんあんまり意識して聞いてなかった。私のお母さんとかお父さんの事、かな?ジョージ先輩に教えてもらったことがまた一つ増えた。

「なまえも学校に残るんだね」
「はい!ジョ…」
「?」
「ク…クリスマスパーティって初めてで!」
「なまえ…」

ハリーとロンが、わかりやすいと目で訴えてきた。危ない危ない、ジョージ先輩が残るから!とか言いそうになった。フレッド先輩も、またわざとらしくため息をついたので、また恥ずかしくなって少しだけ肩を縮めた。左側で不思議そうに、どうしたんだ?と聞いてくるジョージ先輩にきゅんきゅんしつつも、なんでもないです!とはっきり言いながら、なんとなくジョージ先輩(とフレッド先輩)の顔を見れなくて、ハリーとロンの方をずっと見ていた。





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