クィディッチという、魔法界でのスポーツ競技の寮対抗戦が今日あるらしい。そして、ハリーはクィディッチのシーカーだ。一年生でクィディッチのチームに入るのもかなりすごい事なのに、突然シーカーに大抜擢されるのは実に100年ぶりで、すごく誉れ高い事らしいけど、正直クィディッチもシーカーもよくわからない。そういえばハロウィンの日に、ジョージ先輩が僕たちはクィディッチの選手だとかどうとか言ってた気がする。まあ、クィディッチがどんなものなのかは見ればわかることだ。

「フレッドとジョージはビーターなんだ」
「ビーター?」
「うん。暴れ玉をバッドで寄せ付けないようにする役目。」
「二人そろって?」
「そうだよ。去年からチームに入ってるんだ」

ハリーが一年生から入ることは、すごいことだと言っていた。でも、ジョージ先輩とフレッド先輩も二年生からチームに入ってて、それも十分すごい事なんじゃないだろうか。いつもはふざけてばかりなのに、さらりとそういうことをやってのけるふたりのことを考えたら、わくわくと胸が躍った。

(めちゃくちゃかっこいいんだけど)

なんかかっこいい。見るのがすごく楽しみだ。ロンとハーマイオニーの隣に座って、グラウンドを見渡す。クィディッチとは、サッカーのようなものだろうか。シーカーとは…えっと…野球で言うピッチャーみたいな?そわそわしながらグラウンドを見渡していると、突然周りから歓声が上がった。ハッとして顔を上げると、すいすいと飛ぶグリフィンドールとスリザリンの選手たち。まるで自分の足を動かしているかのように自由に飛ぶから、感動してしまった。きょろきょろと見回していると、赤いユニフォームを着た選手がふたり、まったく同じ動きで柱の周りをくるくる回って、再びフィールドの上に飛んでいくのが見えた。目は良くないが、もしかして、ジョージ先輩とフレッド先輩だろうか。箒に乗って自由自在に飛んで、二人一緒に全く同じ動きをして…

「かっ…!」

可愛い…!
年上の先輩に対する言葉じゃないかもしれないけど、ロンから話を聞いて、いろいろ自分の中で考えて、二人を目の当たりにして、どうしようもなくなった気持ちが、無意識に口から出ていたことに行ったすぐに気付いて言葉を止めた。なんていうか、双子はわたしの中でアイドルのような存在に確立しつつあった。最初こそジョージ先輩は再会するときまであこがれの人という感じだったが、なんていうか、かかわればかかわるほどあの二人の魅力にひかれていく。…ただ、自然と探したり、気になったり、一番に自分の口から出てくる名前は、何故かいつだってジョージ先輩だけど。

「始まるよ!」

クィディッチが始まって、すいすいと空を飛んでる中で二人を見つけることすら難しくなった。それでも私は、自然にジョージ先輩を探そうと必死に目を凝らす。クィディッチという競技の概要を理解してきて、つまりは暴れ玉をバットで打ち返しているのがジョージ先輩とフレッド先輩という事だ。試合の勝ち負けというよりも、ジョージ先輩やフレッド先輩がどこにいるのかを必死に気にしていた。ずっと目を動かして、そしてやっと暴れ玉を打ち返す赤毛を見つけた。普段なら見つけやすいのに、あんなに早く動かれたら見つけにくくて仕方がない。あれはジョージ先輩だろうか、フレッド先輩だろうか。しばらくその人を見てるうちに、赤毛が二つになって、ある一点を中心にするように、すいすいと円を描くように飛び始めた。え、と思わず声にした途端、近くにやってきて一緒に観戦していたハグリッドと、ロンとハーマイオニーが声を上げた。

「一体ハリーは何をしとるんだ」
「ハリーの杖がおかしい!」
「スネイプよ…箒に呪いをかけてる」

ハーマイオニーの言葉をきいてスネイプ先生の方を見やるが、もちろん肉眼では口を動かしているかどうかなど見えない。もう一度フィールドに目を戻し、ハリーを見る。ぐらぐらと動く箒に必死にしがみついているハリーを見て、私までハラハラしてきた。今にも落ちそうだ。下でぐるぐる円を描いている二人は、きっとハリーを助けようとしているのだろう。や、やさしい…!二人がいるからきっとハリーが地面に落下することはないだろうけど、それでも心配で私までそわそわする。落ちたらどうしよう、落ちませんように…!

「やった、ハーマイオニーがやったぞ!」

ロンがそう言った通り、ハリーの杖が元通りになる。そしてスニッチを見つけたのか、ものすごい速さでスリザリンの人と張り合いながら飛んでいった。そして、地面に転がるハリー。気持ち悪そうだぞ、とハグリッドが言ったとたん、司会の人が高らかに言った。

「ハリーがスニッチをとった!グリフィンドールの勝利!」

笛が鳴って、わあ!っと客席が沸いた。スリザリンの席を見てみるとがっくりうなだれているように見えたが、自分も興奮していたため、あんまり目には入らなかった。箒に乗って飛びながらハリーの周りに集まる選手の中にはジョージ先輩たちもいて、同じタイミングでバッドをイエーイ!とハイタッチのように叩き合った二人を見て、何であんなに可愛いの…!とまた心の中で思った。

競技が終わって熱の冷めないままグリフィンドール寮へ戻ると、クィディッチの選手たちを中心にしてみんな盛り上がっていた。ジョージ先輩とフレッド先輩も嬉しそうに盛り上がっていて、楽しそうだ。先輩たちに近寄って、おめでとうございます!とどさくさに紛れて言ったら、どちらかはわからないが、私に気付いてくしゃりと頭を撫でて笑ってくれた。

「ありがとう、なまえ!」

ニカッと嬉しそうに笑って、私の名前を呼んでそう言ったのが、ジョージ先輩だったらいいなあ、と無意識に思った。



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