30 days
「なんで、そういうことになるわけ」
「いやー、なんででしょう」
「ほんとにそういうのやめて。反省して」
「してます! この通りしてます!」
超絶美形の冷たい視線。いやもう絶対零度じゃん。凍えてしぬよ。
「レポートってさあ! そんな五千字も書けないっつの!」
「たった五千字? ふざけてるの?」
「ふざけてませんごめんなさい」
現在二十二時三十二分。一人暮らしの結依さん家に突撃して早五分である。
「自分の家でやってよ。人の家あてにしないで」
「帰ったらゼッタイに寝る」
「自信満々にと言う台詞じゃないから」
はあ、とため息をひとつ。ここまで来たらゴールは近い!
「朝、うだうだしないで。さっと起きてすぐに学校行って」
「ハイ!」
「それから早く終わらせて。俺の言う通りやったら早いから」
「ハイ!」
とにかく良い子に見えるように百点満点の返事を繰り返すと、諦めたように入れてくれた。ほんといいツンデレ。
「レジュメ出して置いといて。すぐやるよ」
「え、ひとまず甘いもの食べませんか」
「食べるわけないでしょ太るよ追い出すよ」
「太るは余計!」
厳しいと思われることも多いらしいけど、こういうとき優しい顔して笑うんだ。美形の笑顔って破壊力抜群。
――なんてにやにやしてたのが嘘みたいに、スパルタに監修されて最高のレポートが出来上がりました。終わってからも酒盛り始めちゃって、お互い寝不足だけど、祭りの後みたいに一体感。持つべきものは友達だよね! って言ったら、馬鹿じゃないのと返された。いまデレ時だったのに!