白昼夢



今日は見事に晴天が広がっている。
まさに日本晴れ。
視界の端に映る桜は、その殆どが葉桜になっていた。
時折、花びらが俺の鼻を擽る。
美しく鳴く鶯の声を子守唄に、俺は微睡み始めていた。
春の陽気は俺から寝る以外の選択肢を必然的に、奪っていく。

"春眠、暁を覚えず"

昔の人は良い唄を詠んだよなぁ。
「は、春姫……?」
頭の下の柔らかい枕がもぞもぞと動いたかと思えば、頭上から鈴の音のように美しい声が降ってきた。
「寝てるの?」
ホントは応えて虐めてめちゃくちゃに愛してヤりたいが、今の俺は睡魔には勝てない。
俺が睡魔と葛藤していると、小さな温かい手が頭を撫でた。
「寝てるなら、良いよね」
そんな呟きと共に、ぺたぺたと愛らしく触ってくる。
そんなことされると俺も元気になっちゃう訳で……。
「響……」
俺は眠気も吹っ飛び、直ぐ響に抱きついた。
「Σは、春姫ッ……起きて///」
真っ赤になって、慌てて離れようとする姿があまりにも愛らしい。
響の髪には桜の花びらがくっつき、綺麗に着飾られ
ている。

やっぱり、春より桜より俺の嫁。
俺は軽くチュっと頬に口づけた。

また顔が一層赤くなる。
俺は響の華奢な体をやんわりと縁側に組敷いた。
「一緒に寝よ」
柔らかな身体を腕に抱き、響の匂いを胸一杯に吸い込む。
「春姫……///」
小さな手が背中に回り、俺を抱き締めた。
窓から入る風は初夏の匂い。
初夏の陽気に充てられたか、直に小さな寝息が聞こえてきた。
もうすぐで春は夏へと代わる。
周りが夏の気配を纏っていくなか、響だけは代わらないで居て欲しい。
代わらずに俺の匂いをさせて居て欲しい。

俺はこの小さな身体が朽ちる迄、響を抱き締め手放さない。



今日は暖かくて昼寝日和だから、腕にある心地よい幸せをもう少し感じていよう。
俺は静かに目を閉じた。


fin


白昼夢


仲良しさんに最近なった零崎闇識さんからいただきました
ごっつぁんです←
春姫さんはいけめんだから、僕は大好きですvv



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