黒の魔法使い

響は今日も万屋にむかう。

「和正ー」

万屋に入りすぐさま目的の人物の名を呼べばレジにいた二人の店子は笑みを浮かべ響を招き入れた。

「店長なら奥の部屋だ」
「響くん、今日も元気だねぇ」

二人に手を振り響は奥の部屋に上がる。
つい最近知り合ったこの店の店長に会いに来たのだ。

「おや、響さん。今日は早いですね」
「早起きしましたのー」

響は笑いながら部屋の中央で何か作業をしている全身黒づくめの男に近づいた。
この男、四季崎和正はとあることで響と知り合ったのだ。
響は和正の後ろに伸びている影に手を伸ばした。
すると和正の形をしていたはずの影が伸びあがり響を抱きしめるかのように包みこんだ。

「きゃー」

くすくす楽しげな笑いをこぼし、響は和正の後ろで影と戯れる。
影はどこからともなく響が大好きなくまのぬいぐるみを出して腕に落とした。

「ありがとー。かずまさ、この影って魔法使いだね」
「そうですか?」
「うん、だってお菓子もくれるよー」

響は和正もこの影も大好きだった。
響を守ってくれ、さらには大好きなものをくれる。
響にとって魔法使いも同然だった。

「さて、響さん、今日は何がしたいですか?」
「今日?今日はねぇ和正のほしいものが聞きたい」
「わたしの?」
「うん!僕にプレゼントできるものだったら、あげたいから」

和正は少し考えてからおもむろに自分が身に着けていたサングラスと帽子を響につける。
響はきょとんとして和正を見つめていた。

「そうですね、では散歩をしながら話してあげましょう」
「うん、じゃぁだっこ」

響は背の高い和正に抱かれてみる景色が好きだった。
和正は了承すると響を抱き上げ万屋を出る。
そして、自らが待ち望む花嫁について響に熱く語った。

「…じゃぁ和正はその花嫁さんに早く会いたいんだ。僕も会える?」
「えぇ、もちろん」

和正はうなずいた。
響は約束と告げて和正と指きりをする。
響は知らなかったのだ。
その花嫁と不思議な縁で結ばれていることを…


To Be Continude...?

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