チョコレートパニック

今日は一年の内で、チョコレートの匂いが町中に漂う一日。
いつになく裏町は大騒ぎ。勿論、裏町も例外になくチョコレートの甘い匂いを充満させているのでした。


チョコレートパニック




「響さんッ……チョコレートは湯煎で溶かして!」
裏町の台所に闇識のヒステリックな声が響いた。
チョコレートを入れた鍋を、直接火にかけようとしていた響はきょとんと闇識の顔を見た。
その目は暗にこのままではダメかと問うている。
横から夏林が鍋を取れば、沸かしてある湯の中に鍋を浮かべた。
「チョコレートはこうやって溶かすんですよ」
夏林は温度計で温度を計りながらチョコレートを溶かしていく。
手持ち無沙汰になった響は、つまらなそうに二人を見上げていた。
そんな響に気付いた闇識は、響でも簡単に出来るバレンタインは無いかと考える。
はっと閃けばごそごそと取り出したのは、チーズフォンデュキット。
闇識は、響に使い方を説明する。
「響さん、この耐熱容器にチョコレートを入れます」
言うが早いか闇識は、適当に折ったチョコレートを耐熱容器に入れた。
そして、液体のチョコレートソースを加える。
「これの下に火を入れたら溶けるまで待って、溶けたらマシュマロやケーキ、果物に付けて食べる。簡単でしょう?」
まだ火をつけないのか、優しく響の頭を撫でた。
「僕にもできる?」
勿論、と頷けばチョコレートに付けるケーキを焼こうかと笑いかける。
響は、うんと頷いた。
闇識も小さく微笑みを溢せば二人で夏林のもとに向かう。
丁度ガナッシュを作り終えた夏林は、二人の様子に微笑ましいものを感じた。
バレンタイン、裏町の台所からは三人の楽しげな声が響く。
夏林は心底幸せだなぁと思うのだった。









fin.


(倖〜、ケーキが爆発したぁ!)
(暁さん、聖さん、何をなさったんですか!)
紅蓮隊の台所では倖の悲鳴が響いたとかそうでないとか。

[ 13/39 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -