僕と君と君と愛しい妻

僕の幸せ。それは君達と一緒に過ごす日々。


僕と君と君と愛しい妻




足元から這う寒さにワタシは目を覚ました。腕の中には心地好い暖かさが保たれておる。寒くてはいけないと、隣で眠る愛しい妻(妻とは言っても男ではあるが)に布団をしっかりかけてやった。
寒いと思って窓の外を見れば、辺り一面が真っ白に変わっている。寒いわけだと一人納得した。一人しみじみと窓の外を見ていれば、パタパタと可愛らしい足音が近づいてくる。
襖の方を見やると同時に勢いよく襖が開かれた。
「パパー」「ママー」
幼い二人の可愛い(正真正銘ワタシと妻の間に生まれた)我が子が駆け寄ってくる。
ワタシは慌ててしーと二人に静かにするよう伝えた。
二人はきょとんと小首を傾げたが、布団の方を見れば納得がいったかのように頷く。
相も変わらず二人の子供はワタシと妻に似て聰明だ。子等は口々に「お外ー」「白いー」「寒いー」「眩しいー」「キラキラ」「綺麗」と言っておった。
幸音や雪弥の声が煩かったのか、妻はうーんと唸ってから目を開ける。
「倖……」と囁けば昨日の熱を思い出したのか、ポッと頬を赤らめる仕草はどこのどんなおなごよりも美しい。
ワタシは倖の頬に口づけを贈り、ニヤリと口角を上げた。
「ッ……何も子供達の前でッ……」
倖は怒ったような恥ずかしそうな何とも口にし難い表情をしている。
ワタシは大丈夫だよと伝えた。
何故なら幸音も雪弥も窓の外の雪に心を奪われ、窓から視線を外しておらぬからである。
倖は恥ずかしそうに笑えばもうと言ってワタシに口付けた。
「これでお返しです」
赤い頬をしてそう告げられれば悪い痺れがぞくりと背中をかけ上がる。
しかし、そんなワタシの様子など知らない倖は子等を呼び、膝に抱き上げた。
「今日はホワイトクリスマスですね」
倖の呟きに子等は興味津々の様子で尋ねる。
「クリスマスー?」「なぁにー?」
クリスマスと聞いてワタシも顎に手を添えた。
クリスマスとは確かクリスチャンが祝う神の誕生日ではなかっただろうか。
倖は楽しそうに話を続ける。
「クリスマスの夜にはサンタクロースが良い子にプレゼントをくれる日なんですよ」
倖の言葉に子等は目を輝かせた。
「「プレゼントー」」
子等は倖の話も聞かずに外へ飛び出す。そのために倖が折角「この雪はサンタクロースからのプレゼントかもしれませんね」と良い話で締め括ろうとしたのに台無しだ。
そんなふうに思っていたら子等がワタシを呼ぶ。
「パパー」「ママー」「「プレゼントあったー」」
ワタシと倖は顔を見合わせた。慌てて玄関に向かえば、玄関にそれはあった。
真っ赤な包装紙に包まれ、緑のリボンがあしらわれたそれは間違いなくクリスマスプレゼントである。
ワタシは倖の肩を抱き寄せ、プレゼントを喜ぶ二人を見ながらプレゼントを用意したであろう人物達を思い浮かべた。



fin.


裏町、紅蓮隊一同『ハ、ハックショーン』

[ 10/39 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -