二人の時間



『俺は、殺人鬼で…いっぱい、人を殺したんだっ』

あのときあいつはそう言って泣いた。
自分に愛される資格などないと、言った。
だから俺は抱きしめて教えてやった。

俺にはそんなことは関係ない。
ずっと、ずっとお前だけを愛してやる、罪識。


「郁ー」
「なんだ。仕事中だ」
「日本刀の手入れが?」
「錆びるからな」

後ろから俺に抱きついて手元を覗き込む居候、罪識。
ひょんなことから俺の家に居座ることになった。
そんな罪識からはわずかに薫る桜の香り。

「花見でもしてきたのか」
「すっげぇ、いいところ見つけたんだ。行かない?」

俺は愛刀の手入れを止めるときらきらと顔を輝かせる罪識を見た。

「仕方ないから、行ってやる」
「上から目線だな」
「お前より長く生きているからな」
「そのくせして夜は下だけどな」
「一言多い」

刀を壁際に立てかけ、俺は手入れに使っていた道具をしまった。
その間に罪識は階下に向かい、倖からちゃっかりと菓子をもらっていた。

「郁、早くバイクだしてー」
「ニケツかよ」
「いいじゃん、ヘルメットかぶるし」

腕に菓子を抱え、ちゃっかりとヘルメットをかぶる。
ていうか、俺の愛用しているヘルメットとわかっていてかぶるんだからたちが悪い。
俺は仕方なくもう一つのヘルメットをわきに抱えて愛車に向かった。
エンジンをふかすとすぐさま罪識が後ろに乗ってくる。

「ちゃんとナビしろよ」
「わかってる」

バイクで走りだせば風が俺の頬をなでる。
気持ちいいと目を細めていたら罪識に「事故るから」と突っ込まれた。

「そこ、右ね。で、一番目の信号機を左に曲がって」

罪識のナビを聞きながら俺は罪識が見つけた桜の木を目指した。

「つか、遠いっ!いつまで走らせるつもりだ」
「俺は近いところにあるなんて言ってないしー」
「てめぇっ」

桜までの意外と急だったことと、道がでこぼこし過ぎていたためにバイクは走らなかった。
そのため郁は罪識をシートに座らせたまま、大きなバイクを押しているのだ。
急な坂道を時間をかけて上る郁は後ろで口笛さえ吹いている罪識をけり落としたかった。
何故罪識の暇に自分が付き合わなければならないのか。
そろそろ郁のうっ憤もたまり始めたころだった。

「あ、ほら、見えてきた」

坂道の終点。
登りきったそこには、澄み切った青空を背景に桜の大木が満開の花を咲かせていた。
風が吹くと花弁がひらひらと舞い落ちていく。

「綺麗だろ?まだ俺とお前しかしらないんだ」

そう言って罪識はバイクから降りて樹の根元へと走っていく。
郁はスタンドをたてると、ポケットに両手を入れてそのあとをゆっくりと追いかけて行った。

「郁に見せたかったんだ」
「あぁ、中々いい」

罪識の隣に立って桜の木を見上げる。

「いいだろ?」
「いいな」

しばらく黙って二人で空を見上げた。
誰にも邪魔されることはない。
そっと罪識が郁の手を握る。
郁はちらっとその様子をみると、強く手を握り締めた。

「罪識」
「あぁ?」
「いなくなんなよ。お前は俺がずっと愛していてやるから」
「……珍しいな?郁がそんなこと言うなんて」
「たまには言ってやる」

不遜な態度の郁に思わず笑みがこぼれた。
握っていた手を一度放すと今度は指をからめて手をつなぐ。


「「愛してる」」

どちらからともなく告げられた言葉に笑みが浮かぶ。
そして桜吹雪の中、俺たちは唇を重ねた。

二人の時間
グダグダってこのことをいうんでしょうね
せっかく素敵なもの(小説)をいただいておいて、このおかえしとか、むしろすでにいやがら(ry
手直しなんていくらでもしますとも
むしろ描き直したほうがいいんじゃないだろうか…
とか考えて、闇識様に押し付けて逃げます←


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