秋と冬と君と過ごす日々



「秋音、冬華ー」

春姫と付き合いだしてから響の行動範囲が増す。
それは裏町。
いつもように春姫に会いに行けばその道の途中で出会う二人の少年。


「お、響」
「やぁ、おちび」
「おちびじゃないもん。秋音が正しいもん」
「まだまだ身長低いからなぁ」
「なっ」
「春姫によくだっこされてるし」
「春姫はいいんだもん!」

むきになって二人に言い返していた響は笑い合う二人の様子に目をパチクリさせた。
どうやらからかわれていたらしく、ようやくそれに気付いた響はばしばしと二人をたたく。

「ごめんよ、響」
「だって、響はかわいいんだもん」
「むぅ…意地悪」

冬華に抱きあげられて、響は頬を膨らます。
秋音がその頭をなでるとすぐに笑みを漏らした。

「春姫のところに行くんだろ?」
「うん。秋音と冬華もいっしょー」
「俺たちも?」
「うん。春姫とね、ケーキの美味しいお店に行くの。二人もいこー?」

響を下におろしてやり、左右から響の手を握る。
二人の顔を交互に見た響は満面の笑みを浮かべた。

「よし、やるか」
「そうだな」
「うん?」

ぱかっと響が口を開くのと同時に、秋音と冬華は腕一本で響の小柄な体を抱き上げる。
地面から浮かび上がった響はそのままぶらぶらと宙で揺れている。

「ほ…ほわぁぁっ」
「ど?」
「すごいすごい!秋音も冬華も力持ち!」

嬉しそうにはしゃぎ二人を見上げた響はぶらぶらと揺れるその感じを楽しんでいた。
秋音と冬華は顔を見合せて笑う。

「それじゃ裏町へ」
「行きますかね」
「ごーっ!」

きゃっきゃと笑う響の声は裏町に吸いこまれていく。
後々、響はこの行為を気にいり、ことあるごとに秋音と冬華に頼んだせいで、春姫に妬かれたとか妬かれなかったとか…。
秋と冬と君と過ごす日々
(落ちないね)
(僕らの力は強いからね。おちびを落とすはずないよ)
(あれ、そっちの落ちだった?)


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