君が生まれてきたその運命に感謝を



その日の朝、響はあわてた様子でリビングに飛び込んできた。

「どうした、響」
「うん、あのね」

全員を集めて響はこそっと囁く。
誰もが顔を見合わせたあとあわてだした。

「どうしましょう、ケーキの材料あるでしょうか」
「プレゼントなんて考えてないよ」
「うん、だから…」

響は再び囁いた。
みんながそれぞれうなずき用意を始めた。
響は倖に頼まれた買いものに、郁と暁は部屋にこもって二人揃って何やら作業をしていた。
銀も手慣れた様子で用意を行っていた。
キッチンからケーキの焼ける香りがただようころ、聖が腕に大量の花束を抱えて戻ってきた。

「ただいま」
「おかえり」
「できたの?」
「あぁ」

郁と暁はいささか疲れた様子ながらも部屋から出てきた。
その手には小さなペンダントがかけられていた。
暁は紺色にトンボが舞う着物を持っていた。

「さすがに短時間で仕上げたから、縫い目が荒かったりするんだけど、でも、着ても何ら問題はないね」
「こちらもできましたよ」

倖が白い箱にいれたケーキを持ってキッチンから出てきた。
響があとを追いかけてきてリボンを箱に巻く。

「銀は?」
「できている」

聖が問いかけたと同時に銀がリビングに姿を見せる。
その手には薬酒にはじまり、一通りのものが乗っていた。

「銀、誕生日プレゼントになんでそんな」
「健康食品だ。効果は抜群。人間なんて簡単に死んでしまうからな…少しでもあ奴が長生きできるように私からの贈り物だ」
「むしろ嫌味にしか聞こえないんじゃないか」

郁のつっこみにもめげずに銀は薬酒その他もろもろをかばんに入れる。
響は花束と手紙、それから自分で作った折り紙のネックレスを手に玄関にむかった。
行く先は友人の家。

「早く早くー」
「あぁ、わかっている」

それぞれが、それぞれの贈り物を腕に響とともに彼の家へ向かった。
チャイムを押せばしばらくして今回の主役が出てくる。

「せーの」

響の合図とともに全員が口をそろえた。





「誕生日おめでとう、棟識!」


君が生まれてきたその運命に感謝を

一週間ばかり遅れましたが、大切な友人であり、らぶコミュやり取りにてお世話になっております零崎棟識様に捧げます


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