攻め子たちの雑談遊技
リビングに集まったのは銀と郁、ミカナギだった。
「…やっぱり闇識くんはかわいいなぁ…」
そんなミカナギの一言からはじまった。
そう、再び彼らの恋人に対してののろけがはじまったのである。
「闇識のどこがいい。あんな無愛想な…」
「そんなことないよ。彼の笑顔…そこだけ日向のようにほわっとあったかくなるんだよ」
「へー」
郁のやる気のなさそうな顔を見てミカナギは鼻を鳴らした。
「…笑顔なら夏林も負けていないがな」
紅茶を飲みながら銀は勝ち誇ったような顔をした。
自分の恋人の笑顔は、目の前の二人の恋人よりもかわいいと自負できる。
「というよりも罪識も闇識も双子だろう。笑顔なんて似たようなものだ。それに比べて夏林は」
「何を言ってる!」
「闇識と罪識が一緒だぁ?」
バン、と机を叩いたのはミカナギ。
そして反論したのは郁。
二人は口々に闇識と罪識の笑顔の違いを話し出した。
銀は目を丸くして二人を見つめる。
「そもそも夏林は年を取りすぎている」
「ほどほどがいいよな」
「なに…?夏林が年をとりすぎていると?」
「そうだ。お前なみに長生きしてるわけだからな」
「…何を言っている。夏林のあの笑顔を知らぬのはお前たちだけだ。闇識も罪識も負けるぞ。あの桃色の唇からもれる笑顔と笑い声。何より可愛らしいとは思わぬのか」
「…えー」
ミカナギは目を細めた。
「それよりも闇識くんのあの花が開くような笑顔。目元が赤く染まって何よりもかわいいと思うよ」
「いやいや。それよりも罪識の生意気そうな笑顔だろう。お前らにはそのよさがわからないなんて…あぁ、もったいない」
バチバチと三人の間に火花が散る。
そこにちょうど帰って来たニャンコと春姫が最後の会話だけ聞いていたのか目を細めた。
『響が一番だよなぁ…』
『倖の愛らしい笑顔がいいのにのぉ…』
そんなことを思っていたなどと、まだ自分の恋人のどこがいいのかを語る三人には気づくはずもなかった。
攻め子たちの雑談遊戯
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