サンタクロースは君



「あわてん坊のサンタクロース♪」

響はのりのりで歌を口ずさみながらツリーに飾りつけをしていた。
和風住宅にはいささか似合わないそのもみの木にはたくさんのオーナメントが飾られている。

「響、高いところは危ないから…俺が、やるぞ」
「凛鬼ー」

いつものように着物姿で現れた恋人の姿に響は笑顔を浮かべる。
すぐそばに駆け寄りぎゅっと抱きつくと差し出したのは星。
ツリーのてっぺんに飾るもので響にはどうしてもできなかったのだ。

「あのね、あと、これだけなの」
「そうか…」

凛鬼はツリーのそばに向かうと星をてっぺんに飾りつけ、響を抱き上げた。
きらきらと輝く横顔はツリーの装飾よりもかわいらしい。

「そういえば…先ほど歌っていたのは?」
「サンタクロースの歌だよー」

響は答えると再び歌い出す。


あわてん坊のサンタクロース、クリスマス前にやってきた
急いでリンリンリン…急いでリンリンリン…


響の歌声に何事かと式神たちも姿を見せた。
楽しげに歌う響に凛鬼さえ小さく口ずさみだす。

「あー、楽しかった」

響は一曲歌い終えると満足したように言った。
凛鬼は優しく頭をなでてから響のために用意したプレゼントを差し出した。

「これは?」
「響へ」
「えー。あけてもいい?」

響は嬉しそうに箱を持って凛鬼に問いかける。
もちろん、とうなずくのを見て響はリボンをほどいた。
箱を開ければそこにはふわふわとした毛糸で編まれたマフラーがあった。

「…俺が、編んでみた……響が、風邪をひかないように」
「…ありがとっ!」

響はマフラーをさっそく首に巻いて凛鬼に見せた。
はっとすると自分のだと、言って凛鬼へ箱を渡す。
首をかしげた凛鬼だったが、やがてその箱を開いた。

「……響」

そこには凛鬼の似顔絵と響が作ったクッキー。

「凛鬼にあげるね?」
「ありがとう…」

凛鬼は響の頬にそっと唇を寄せた。
恥ずかしげに笑う響だが、やがて凛鬼の耳元に唇を寄せた。


「”メリークリスマス”凛鬼…」

部屋を暗くし、明りをつけたツリーを見つめ、初めてのクリスマスデートに二人は酔いしれた。

「……来年も、その先も、ずぅーっと凛鬼といるよ」

響はそう笑顔で告げると凛鬼と指きりをした。





「私はあの陰陽師に響をやるつもりはない!」
「まぁまぁ、銀様………」

そう、叫んでいるものがいたなど二人が知る由もなかった。





サンタクロースは君
(ホワイトクリスマスだったらよかったなぁ…)
(来年は二人で雪でも見に行こうな?)

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