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 衣更えの時期

 


学校が昼までだったその日、白石が家に帰りリビングを通りかかると
キッチンから出て来た母は白石に声をかけた


「くー!ええとこ帰って来たわ」

「なんや?おかん」

「ちょっと、まこ捕まえとき」

「?」


ソファーに寝転んでいたまこを抱き上げると、まこは白石の頬にふわりと頬を擦らせた。


「捕まえたで。おかん」


エクスタと違い、簡単に捕まるまこ。
白石が母に声をかけると、母は庭へと出て行った。


「くー、しっかり捕まえときや」


ふわりふわりと積み重ねられていくのは、洗濯物と
太陽に当たりふわふわになった冬物の布団


「ああ、成る程な」


ふわふわの布団にぴくりと反応したまこに、白石は苦笑した。

そう、まこはふわふわが大好きなのだ。
もこもこした物も好きだが、羽布団や毛布など冬物の物も大好きで
その日、衣更えで夏物を出し冬物をしまっていた母は
布団にまこが乗り、猫の毛がつかない様に白石にまこを捕まえさせたのだった。


「あ…あかん」

「みゃー(ふわふわ布団−!)」

「ちょ、まこ…」

「みゃー(はなしてー!)」

「くー、もう少しやから頑張り!」


母が布団をしまい出すと、まこはピーンと体を伸ばしたり
体をくねらしたり、どうにかして白石の腕から逃げようとした。
白石が必死にまこを捕まえている内に、母は急いで布団をしまっていく。


「まこ、俺の部屋にバスタオルあるさかい、それで我慢しや。な?」

「みゃー(毛布もうしまっちゃうの?)」


白石がまこを抱き直し顔を合わせると、まこはじっと白石を見た。


「ん?ちゅーしたろか?」

「みゃー(なんでそうなるんだ!)」


ぺちっと肉球で挟まれる頬。
白石はくすりと微笑むと、まこを抱いていた手が思わず緩んでしまい…


「あ…!!」

「あ−!もう、なにしよんねん!くー!」


まこは羽毛布団にダイブした。


end

(くーちゃんにキスされて嫌がんのんは、まこだけやね)

(くー、あとで布団コロコロしときや)




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