▼ 君とメリークリスマス
12月25日、クリスマス。
今日も今日とて柳達は部活をしていました。
「…大量だな」
柳がベンチに戻ると、そこにはちょこんとまこが座っていた。
まこの回りには、いつの間にか猫缶やらねこじゃらしやらが大量にあり
ため息をついた柳をまこはきょとんとした瞳で見上げた。
「みゃ(部員の人達がくれたんだよ)」
この猫缶やねこじゃらしは、クリスマスプレゼントと部員達が置いて行った物だった。
どうりで、レギュラーコートへの人の出入りが多いわけだ。
柳はまこを抱き上げるとふわりと頬を撫でた。
いつもより手触りがふわふわしているのは、冬毛のせいだけではない。
今日だけは、いつもの青い首輪ではなく白のふわふわとした首輪をしているまこ。
これは姉からのクリスマスプレゼントだ。
25日が過ぎれば、大人げなくもすぐにいつもの首輪に変えるつもりだが…
柳は季節毎の行事の間だけはまこへの贈り物を身につけさせてあげるようにしていた。すごく、癪だが。
「愛されているな、まこは」
きょとんと見上げるまこに、柳はふと微笑むと
こつりと額と額をくっつけた。
最近、気づいた
これならばねこパンチが来ない事に。
だが…
「ふ、冷たいな」
我慢出来ず、そのまま顔をまこの首筋に埋めた柳はまこにキスをした。
ペチリと冷たい肉球が頬に当たるがそれさえも愛おしく感じる。
「柳、まこが嫌がっとるぜよ。こっちによこしんしゃい」
「嫌がってない」
「うわ、プレゼント大量ッスね!」
「まこはうちのお姫様だからね」
−−部活が終わると、部室で皆でクリスマスパーティーをした。
簡易だが部室を飾りつけ、ケーキやお菓子を用意して。
「クラッカー鳴らすぜよ!柳生、まこの耳押さえんしゃい」
「はい。どうぞ」
「「「メリークリスマス!!!」」」
音だけのクラッカーを仁王や切原が鳴らし、クリスマスパーティーの始まり。
まこが驚かないように耳を塞いでいた柳生の手が離れると、まこの前に小さなケーキが出された。
「メリークリスマス、まこ!俺と柳とでクリスマスケーキ作ったんだぜ。たっぷり食えよ!」
にこりと笑った丸井に、まこは柳の腕から身を乗り出す。
「みゃー(すごい!ケーキの形してる!)」
柳がチョイスしたねこ缶を皿に乗せ、鰹節などを盛り付けた猫用ケーキ。
これなら、少食なまこも喜んでくれるだろうか?
嬉しそうにケーキを見たまこはにゅっと体を伸ばし、鰹節だけをパクリと食べた。
「まこ、お前苺から先に食べるタイプかよぃ」
「鰹節大好きだからな」
「む。まこ、好きな物だけ食べていては大きくならんぞ!」
こうして、楽しいクリスマスは過ぎて行った。
END
来年も、こうして皆で過ごせたらいいね
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