▼ 猫友達からのクリスマスプレゼント
猫になって、少しだけ猫の気持ちが分かるようになってきた。
「みゃ−(うわ、なんか変な感じがするよ!お姉ちゃん)」
「ふふ、かわいい」
サンタの帽子にサンタの洋服、手袋にブーツ
まこには少し大きい猫用の服は、昨日届いた物だった。
−−時は12月22日の夜にまでさかのぼる
柳とまこがお風呂からあがりリビングへ行くと姉に声をかけられた。
「蓮二、見て見て!」
姉が持って来たのは、一枚のポストカード。
そこには二匹の猫がトナカイの格好をした写真が写っていた。
「みゃ(あ!ルーとクーだ)」
柳がまこを抱き上げたままポストカードを見ていると、にゅっとまこが伸びてポストカードを覗いた。
ルーとクーとは柳の親戚の家で飼われている猫達で、まこが家でお留守番の日によく柳家に遊びに来る猫友達だ。
「クリスマスプレゼントって今日届いたの。あとこれも」
にこにこと嬉しそうに姉が取り出したのは、サンタの洋服
まこには少し大きそうだが、それでも小さい猫用の物だ。
「へぇ、クリスマスに着せてやったらかわいいでしょうね」
普通の猫なら嫌がるかもしれないが、まこなら多分嫌がらないと思う。
柳がふと微笑むと、姉はにこりと微笑んだ。
「蓮二。明日はまこ借りるわよ」
「…は?」
−−そして今日
12月23日、クリスマスイブも1日前だというのに僕はなぜかサンタの格好をしています。
「みゃ(歩きにくいな…)」
まこをサンタへ変身させた姉は、すぐにカメラを構えた。
まこは下におろされると、右左と自分の姿を見て
きょとんとした表情で姉を見上げた。
「あ、今のかわいい!蓮二とお父さんの為に動画もとってあげようかな」
柳は今日が終業式。部活はあるのだが、本日まこは姉に奪われている。
父は夜まで仕事。
姉は午後から仕事がある。
「お昼には蓮二が帰って来ちゃうから、今のうちにまこを独占しとかなくちゃね」
カメラを動画モードに切り替えた姉はごろりと床に寝転んだ。
「みゃー(お姉ちゃん、それお仕事の服だよね?しかもスカート…!)」
とたたっと姉に近付いたまこ。
カメラを覗き込むまこに、姉は微笑むとねこじゃらしを取り出した。
「じゃん!クリスマスバージョンねこじゃらし」
小さなプレゼントやふわふわ、キラキラな紐などがカラフルな棒の先についたねこじゃらし。
「ルーとクーのママからプレゼントよ」
まこの前でふわふわと振ると、ぴくりと反応したまこはねこじゃらしに飛び込んだ。
わしゃっ!と掴まえるものの、手袋をしているせいでするするとねこじゃらしは逃げて行く。
「みゃ(あ!掴まらない!)」
「ふふ、残念」
小さな体で、一生懸命にねこじゃらしを追いかける姿がかわいらしい。
「よし。じゃあそろそろポストカード用の写真撮ろうか」
まこサンタがプレゼントを追いかける動画をしばらく撮影していた姉は満足気にカメラを切り替えると写真撮影を始めた。
END
(なんて格好をしているんですか、姉さん)
お昼になり家に帰った柳が見たのは、ごろりと床に寝転んだまこサンタをスカート姿の姉までも床に寝転び撮影している姿だった。
(お帰り蓮二。見て見て!かわいいでしょう?)
出来上がったまこサンタのポストカードは大好評でした。
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