▼ 末弟LOVE!
それは、とても不思議な光景だった。
「姉さん、これは何処に飾りますか?」
「あ、私が飾る。蓮二はこれ上につけて」
「はい」
本日12月24日、クリスマスイブ。
柳家には、和室に似合わない大きなクリスマスツリーが飾られていた。
ツリーを買ってきたのは父で、今はそれを柳と姉が飾り付けている。
普段ならケーキを食べる程度で終わるのだが、今年は特別で
クリスマスツリーを見たことがないまこへ見せてあげたいが為だけに昨日ツリーを買ってきた父に、家族は思わず微笑んだ。
クリスマス特有の、キラキラと光る飾り。
着々と出来ていくクリスマスツリーを興味深そうに父と一緒に見ていたまこは、ぽとんと父の膝から降りるとツリーに近づいた。
「みゃー(綺麗だね)」
「あら、まこ。来たの?」
ちょうど、二人が星をつけていると、二人の足元へまこが来た。
腕を上げたまた姉がまこを見ると、父もやってきてまこを抱き上げる。
「こらまこ。邪魔しては駄目だぞ」
ふわりと耳に触れる唇。
「もう少しで、お前の大好きなキラキラになるから待っていろ」
姉を手伝いつつ振り返り、柳がまこの頬を撫でると
まこは嬉しそうに目を細めた。
END
クリスマスツリーを飾りつけるため、飾りの入った袋に手を入れた柳はふわりと触れた感触に中を見た。
そこには、飾りに埋もれたまこがいて
柳はふわりと微笑んだ。
(構ってほしいのか?)
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