ひよこのぬいぐるみ
「ピヨ」
「ピヨ」
「ピヨピヨ」
部室に響いたその音に、午後練一番乗りの柳生は溜息をついた。
「まこ、どうしたんです?それ」
まあ予想はつきますが…
ユニフォームに着替えていた柳生が振り返ると、テーブルの上にはまこがいて
まこはくえていたそれをぽとりと落とすと、にゃーと鳴いた。
「(仁王に貰ったの)」
「ピヨ」
押すと音が鳴る小さなひよこのぬいぐるみ。
どうやら録音機能があるらしく、その"ピヨ"は仁王の声である。
「まったく、何処で見つけて来るんでしょうかねぇ彼は」
柳生は溜息をつくとつまんだぬいぐるみを指で押した。
「ピヨピヨピヨピヨ」
カチ、と小さな音が聞こえた。
それから、柳生と入れ代わりに丸井とジャッカルが来た。
テーブルにいたまこをふわふわと撫でるといつものように着替え出す。
「真面目にやりたまえ!」
二人が話しながら着替えていると、いきなり柳生の声が聞こえ
「うわ!柳生いたのかよ…って、あれ?」
二人は驚き振り返ったがそこにはまこしかいなかった。
「真面目にやりたまえ!」
「真面目にやりたまえ!」
こうして、丸井達もそれに気づく事になる。
「シクヨロ☆」
「かわいいなぁ」
「たるんどるぞ!」
最後に部室に来たのは、これを持ってきた仁王と委員会で遅れた柳で
「柳、見てみんしゃいコレ」
まこを抱き上げひよこを持ち上げた仁王はにっと微笑んだ。
「みゃー」
ひよこを押し、聞こえた音に仁王はきょとんとした。
「ほう、今時のひよこはにゃーと鳴くのか」
何度押しても
「にゃー」
「にゃー」
「にゃーにゃーにゃーにゃー」
仁王は耐え切れず吹き出した。
「かわええひよこじゃのぉ。貰ってかえろう」
「まこにやったんだろう。かえせ」
「プリ」
こうして、まこのおもちゃににゃーと鳴くひよこが追加されました。
END
第十二回拍手御礼小説