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避難場所は…


 


−パチン−

−パチン−


学校が午後からのその日、朝に部屋で柳が爪を切っているとお姉ちゃんがやってきた。


「あれ、まこの爪切ってたんじゃないのか〜」


化粧をし仕事に行く準備万端のお姉ちゃんは、そこに柳しかいないと知ると残念そうに眉を下げた。


「姉さん、どうしたんですか?」


柳が爪切りを中断しお姉ちゃんを見ると、お姉ちゃんは周りを見回した。


「仕事行くからまこに行ってきますのちゅーしようと思ったんだけど、嫌がって隠れてるのかしら…」


しゅんとするお姉ちゃんに、柳はくすりと微笑んだ。


「違いますよ」




所変わってリビングのテーブル
そこには仕事が休みだった父が新聞を広げていた。


「まこー?いる?」


お姉ちゃんがリビングの扉から顔を出し、声をかけると


「みゃー」


何処からか鳴き声が聞こえた。
だが、何処にも姿は見当たらない。


「おはよう、お父さんお母さん」


両親に朝の挨拶をそこそこに済ませ奥の部屋まで見るも、まこの姿はなく
お姉ちゃんは腕組をし首を傾げた。


「みゃー(あれ、お姉ちゃんいないの?)」


また聞こえた鳴き声は、意外と近く…というか後ろからで
お姉ちゃんが振り向くと、まこは父の着物からひょこりと顔を出していた。


「もう、そんな所にいたの?」

「ふ、見つかってしまったな」


お姉ちゃんが近づくと、抱き上げる前にまこはまた着物に潜ってしまった。


「まこ?どうしたの?お姉ちゃん嫌い?」


着物の隙間からお姉ちゃんと父が中を覗くと、青い瞳が二人を見上げた。


「みゃぁ(駄目だよ二人とも!知らないふり知らないふり!僕はここにいないの!)」


もぞもぞと動く小さな膨らみに触れると、父はくすりと微笑んだ。

新聞を読んでいると、とととー!とリビングに来て一目散に着物に潜り込んだまこを思い出す。


「さっき、爪切りを持って部屋に行った蓮二と入れ代わりに来たんだ」

「成る程。そういうことね」


お姉ちゃんは苦笑した。

蓮二が「まこはリビングにいますよ」と言った意味が分かった。
爪切りが嫌いなまこは、切られないように父の着物に隠れているのだろう。

バレバレだけど。


お姉ちゃんはくすくすと微笑むと容赦なく父の着物からまこを引っ張り出した。


「みゃ(お姉ちゃん!柳に見つかる!)」


優しく抱きしめると、きょろきょろと周りを見回すまこ。
戻してー!と訴える様に見上げる瞳に、お姉ちゃんはにこりと微笑んだ。


「まこ、行ってきますのちゅー」


ふわりと頬に触れた唇に、まこはきょとんとした。
すると、後ろから誰かに抱き上げられ、反対側の頬にもキスをされる。


「姉さんはよくて、何故俺は駄目なんだ?」


下から挟み込まれた頬に、柳はふと微笑んだ。


「みゃ(恥ずかしいから皆駄目だけど…、女の人には猫パンチ出来ないの!)」


END

第十二回拍手御礼小説








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