log | ナノ





まこの好きなもの


 

学校に続く道には、まこの好きな物がたくさんある

例えば、ねこじゃらしの草
たんぽぽの綿毛
白くて大きいふわふわの犬

部活がある日は朝の早い時間に登校する為
犬の散歩をしている人とよくすれ違う
柳は俺より早い時間に通るから知らないだろうけど
白くて大きくて、毛がふわっふわした
まこの好きそうな犬とは散歩と登校時間が重なり、もう顔見知りだ


まこならあんな犬も怖がらずに近付くんだろうなー
ふわふわ大好きだし


丸井は犬の飼い主さんといつもの様に挨拶をすると
立ち止まり、犬の後ろ姿を見送った

ふわふわとしっぽが揺れ、まるでぬいぐるみが歩いているみたいだ


他の部活生に追い抜かれると、丸井も時計を確認し急ぎ足で進んだ


「おっ!綿毛発見♪」


遅刻して真田に怒られない様に時間に注意しつつも
丸井は途中で立ち止まり、まこの好きな綿毛を摘んで行く


「お!ねこじゃらしもあんじゃん!ラッキー♪」


進んでは立ち止まり、進んでは立ち止まり
摘んだ草はテニスバックのポケットに入れていたが
いつの間にかいっぱいになっていた

綿毛は登校途中に飛んで行く可能性も考え沢山摘んだが
案の定、丸井が走り出すとふわふわと
まるで丸井の足跡を残すかの様に風に舞い上がった

追い越された部活生を再び追い抜き、校門が見えたところで
校門をのんびりと通過する銀髪の男を発見する

ゆらゆらと揺れるしっぽ、もとい結われた銀髪
あれも、まこがよく掴まえる
まこの好きな物だ

じっと揺れる銀髪を見た丸井は、何を思ったのか走るスピードを上げると…


「…なんじゃ、丸井」


歩いている仁王の後ろ髪をワシッ!と掴んだ

二人の体はその場でピタリと止まり、仁王の体は後ろに傾く
振り向いた仁王は心底嫌そうな顔をしていてた


そういえば、仁王って人に髪触られんの嫌いだったな


「…いや、なんとなく」

「プリッ。俺をねこじゃらしにできるのは、まこだけぜよ」


丸井が仁王の髪から手を離すと、髪はぐしゃぐしゃになっていて
丸井の指には仁王の髪留めがついて来た
仁王は髪留めを返せと手を出すが、丸井はそれを握りしめた


「今日はそのままでいいんじゃね?」

「は?邪魔になるけん勘弁じゃ」

「じゃあ切ればいいだろぃ」

「美容室は好かん」


結局、髪留めは仁王が奪い返し
仁王のしっぽはいつも通り出来上がった


END

だって、ずるいだろぃ?
まこの好きな物を、探さなくても持っているなんて


第十一回拍手御礼小説









人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -