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爪切り


 


−パチンッ−

「みゃ(あ!)」

−パチンッ−

「みゃ(ひゃ!)」


リビングに響く小さな音と鳴き声

−パチンッ−

「みゃ(わ!)」


夕食の準備をしていたお母さんは、可愛らしいその声にくすくすと微笑んだ


「…まこ、痛くないからそんな痛そうな声で鳴くのやめなさい」


リビングのソファーの前に胡座をかいて座り、手には爪切りを持っている柳
只今柳はまこの爪切り真っ只中です

まこは家に来た時から爪切りが大嫌いだった
それはもう初めは逃げて隠れて逃走を図るまこを捕まえるとこから始まり
今では少し慣れ、柳だけにはおとなしく切られている
それでも切られている間中切なげににゃーにゃー鳴くのは、やはり爪切りが嫌だからだろう
柔らかい体をくにゃりくにゃりと曲げ
切られているところを見ない様に変な体勢で顔を背けるまこに柳はくすりと微笑んだ


−パチンッ−

「みゃ(ん!)」

「はい、足終わり。次は手、どうぞ」


足の爪を綺麗に切り終えると、そのままひょいと持ち上げふわりと丸い足先へ唇を触れさせる
この時ばかりは爪切りに必死なまこはいつもの猫パンチを繰り出す事はせず、柳の膝の上で固まっている
まこの足先をさらさらと撫で、次は手
変な体勢のまこを脇の下へ腕を入れて抱き上げ手を持つと、まこはやはり顔を背けた


−パチンッ−

「みゃ(もういい?)」

−パチンッ−

「みゃ(まだ?)」

−パチンッ−

「みゃー(終わり?終わり?これ最後?)」

「ふ、にゃーじゃない。次、反対の手」


−パチンッ−


こんな日常


end

第九回拍手御礼小説








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