半崎くんと私B
「やっぱり敵わないなぁ…」

隣で半崎くんが撃った的を見ながらぼそりと呟くと、不機嫌そうな声が耳に届いた。

「は?何言ってんだ」
「えっ」
「は?」
「……怒ってる?」

昨日より機嫌悪そうなんだけど…なんでだ。ランク戦は夜の部のため、昼間は狙撃練習しようと半崎くんを誘ってやってきたのだが……困ったな。このままだと確実に荒船先輩に怒られる。

「………五月」
「うん?」
「オレに勝てないって思ってんの?」

イーグレットを置いて、練習の手を止めた半崎くんに顔を向けると、普段ダルそうにしている目がじとりと私を睨んでいた。

「………最近負けてばっかりだもん」
「それだけ?」
「それだけって…」
「最近静かだと思ってたけど………負けたら…また勝負挑んで来るのが五月だろ」
「なに…」
「敵わないって諦めてる五月に負けたくないんだけど」
「勝てると思うの…」
「なんで勝てないって思ってるんだよ」
「うう…」
「オレのこと助けてくれるんだろ」

昨日、私が言ったことだ。本気にしてないと思ったのに……ちゃんと覚えててくれたんだ。

「オレは、五月が同じ部隊でよかったと思ってる」
「え…」
「もう言わないからな!」
「えっ…もう一回言って」
「言うかよ」

もしかして、ライバルだって思っていたのは私だけじゃないのか…。
私が半崎くんに思っているように……頼りになるチームメイトだって思ってくれていると自惚れてもいいのかな。

(20161224)

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