高校入学!
「半崎くん同じクラスだよ!」
「うわーダルい」

真新しい制服に身を包み、一緒に三門市立第一高校の敷地内に足を踏み入れた半崎くんは、クラス表を見て顔をしかめた。え、何その反応。
同じクラスに佐鳥くんの名前もあるし、知り合いがいてほっとした。クラス表が貼られた掲示板の前から離れて、私と同じように左胸にコサージュをつけた同級生達を見回すと、見掛けたことのあるボーダー隊員の姿がちらほらと確認できる。ボーダーと提携しているこの高校には私の知らない隊員が何人もいるのだろう。

「教室行こ」
「分かったから腕引っ張るなよ」

ため息を吐いた半崎くんの腕を引っ張りながら「友達たくさんできるかなぁ」と意気揚々に教室へ向かう。ほかり先輩も倫ちゃんもいるし……他のボーダー隊員もいる。知り合いが何人もいるこの学校に通うことに不安は感じなかった。今なら、友達たくさ作れそうな気がする!

「あ、そうだ五月……友達作るまで教室で話し掛けてくるなよ」
「えっ……」

「荒船さんに言われてるから」と言った半崎くんに笑みを浮かべた顔はピシリと固まった。


スタスタと前を歩く半崎くんに続いて仕方なく私も一年C組の扉をくぐるが、黒板に貼られた座席表を見て肩を落とした。半崎くん………席も離れてる。でも佐鳥くん近い……近いからいい。
指定された座席に腰を下ろすが、他に知り合いはいないようだ。既に来ていた佐鳥くんは、窓際で数人の男子と話している。うん………落ち着いて席で待ってる人じゃないよね……分かってた。わたしに気付いた佐鳥くんはその場から声を掛けてきたので、小さく手を上げて応える。佐鳥くんと話してた人たちもこっち見てるんだけど!
鞄を机の横に掛けて俯いていると、隣の席にどさりと鞄が置かれた。

「おはよー!」

明るい声で挨拶する隣人に「この人も友達一緒なのかなぁ」とぼんやりと考えていると、「聞いてる?」との声と同時に机を軽く叩かれる。
びっくりして顔を上げると、彼はもう一度「おはよー」と言って笑った。え………私に言ってるの?……え?知り合い……ではないよね。

「おは……よ?」
「おはようって言うかもう午後だったごめん!」
「いえ……大丈夫です」
「なまえ何て言うの?」
「五月……晶です」
「おれは別役太一!となりだから!」
「べつやくん」
「別役だってー」
「べつやく……くん……ごめん」
「別にいいよ!はー…知り合いいなくて緊張する」

緊張?………これで?

「でもクラスにボーダーの人いてよかったー!」
「べつやくくんボーダーなの?」
「え、五月さん狙撃手だよね?訓練場で見掛けたことのある」
「べつやくくんも狙撃手?」
「そうだよー。おれ鈴鳴第一」

あれ………鈴鳴って……。思い浮かべるのは、荒船先輩の弟子である鋼さんの姿だ。聞いてみると、やっぱり鋼さんと一緒の隊らしい。

「さっそく友達出来たって、来馬先輩と鋼さんに報告しないと!」
「えっ……(友達…?)」

今ちょっと話しただけだけど、友達でいいの?…いいってことにしよう。
私も報告しようと半崎くんの方に顔を向けるが、前の席の男の子と話している最中だった。………寂しくなんてない。


「うわああっ…教科書がー!」
(教科書が雪崩を起こした………新しいのに)

※被害者は別役太一の前の席の人である。

20160427

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