半崎くんとお昼寝
半崎くんがハンモックを持ってきた。

荒船先輩のスクリーンプロジェクター、ほかり先輩の筋トレマシンに続けてまた場所取るもの持ってきたなぁと、作戦室の隅にハンモックを設置する半崎くんをぼーっと見る。こないだ倫ちゃんに頼まれて石像を部屋に入れたら怒られたのに、半崎くんには何も言わないのはなんでだ。ちなみに、石像は倫ちゃんのだと言ったら許しが出た。解せぬ。

荒船先輩が個人ランク戦をしに作戦室を出た後、早速ハンモックで寝始めた半崎くんが視界に入って気になる。ハンモック……ハンモックか…。あとで使わせてくれるかなぁ。小さく欠伸を溢すと、「五月もハンモックで寝ればいい」とほかり先輩が言った。

「半崎くんが使ってるじゃないですか」
「もう一人くらい入れるだろ」

ニヤニヤと笑いながら私を持ち上げたほかり先輩にされるがままハンモックの上に横になる。眠くて抵抗する気も起きない。まあ、いいやと肩の力を抜いて、そのまま目を閉じた。
ゆらゆら、ゆらゆら………体が揺れる。



「は!?」

耳元で響いた声にびくりと体が揺れた。……ほかり先輩の笑い声が聞こえる。ぼんやりとした頭で「なんで五月も寝てんの」と話し掛けてきた半崎くんの方に向こうと体を動かすが、焦ったように止められる。動けないので、何もない天井をじっと見つめる。頭が回らないなー。半崎くんとほかり先輩の会話が耳を抜けていく。眠い。寝そう。

「寝るなよ五月」

カシャリと鳴ったシャッター音に閉じかけていた目を開ける。「何撮ってんすか!?」という声の後、床から鈍い音が聞こえた。左側の温もりが消えて、仕方なく体を起こす。

「………送っておいたぞ荒船に」
「はああ!?」

ほかり先輩のスマホを取ろうと手を伸ばしていた半崎くんは、それを聞いて大きな声を上げた。別に写真くらいいいんじゃない?

「変な顔してたの?」
「それ五月だからね」
「うわー困るなー」
「本当に困ってんの?」

床に座る半崎くんは、眠すぎて棒読みになった私を呆れたように見上げた。そういえばなんで床に座ってるの?

「というか、五月も少しは照れろよ。半崎みたく」
「起きて隣に人がいたら普通に驚くっすよ」
「半崎くん照れてたの?」
「五月はちょっと黙ってて」
「……心配になってくるな。ここまで無防備だと」
「同い年とは思えないっす」
「……私バカにされてるのかな」

私の言葉を無視して会話を続ける二人にムスリと頬を膨らませる。仲間外れよくない。
荒船先輩か倫ちゃん来ないかなーとハンモックの上に乗ったまま話続ける二人を眺めていると、半崎くんが欠伸を噛み締めたのが目に入った。うん、私も眠いよ。
さっきまで半崎くんがいた場所を叩いて「半崎くん、寝よう」と声を掛けると、二人そろって大きなため息を吐いた。

え?私なにか間違った?

(20160111)

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