ゆーまくんと私
「あれ?」
前方にきょろきょろと辺りを見回す白い頭を見付けて、思わず駆け寄る。大規模侵攻が終わってから彼の姿を見るのは今日が初めてだ。
「ゆーまくん!」
「おお?さつき先輩」
振り向いた赤い眼が私の姿を移す。先日合同狙撃訓練で一緒になった雨取ちゃんにゆーまくんも無事だと聞いてはいたが、姿が見れて安心した。
「久しぶりだね」
「おひさしぶりです」
「ふふっ…こんなところでどうしたの?」
「ランク戦しに行こうと思ったんだけど、たどり着かない」
個人戦ブースからは少し離れたこの場所にゆーまくんがいることに首を傾げると、彼は「困った」と言いながら唸った。
「迷ったんだね…じゃあ一緒に行こうよ」
「これはこれは、ご親切にどうも」
「こっちだよ」
これから作戦室へ向かうところだったが、少しミーティングに遅れても今回は許してもらえるだろう。迷子の後輩を助けるのは先輩の役目だ。うんうんと頷きながら進んでいると、不思議そうに目を丸くしたゆーまくんの視線に慌てて取り繕う。まずい…会うの二回目なのに変な印象を与えてしまう。案内しながら真っ白なこの後輩と仲良くなりたいという下心もあるのだ。
「ランク戦がんばってるんだね」
「B級にならないと、ランク戦に参加出来ないから」
「次のランク戦から参加するつもりなの!?」
当然だと言わんばかりに強く頷いたゆーまくんにぽかんと口を開ける。え?ゆーまくん今月入隊したばかりだよね?2月まであと3日だけど!?
「実はもう少しなのです」
「えっ………すごいね」
以前見たゆーまくんの個人戦を思い出して、そういえばすごく強かったなと納得する。彼なら本当にランク戦に間に合いそうだ。
「うん、そっか……」
「さつき先輩?」
「じゃあ、ゆーまくんもライバルだね」
「当たったら負けないよ」にやりと笑ってそう言うと、ゆーまくんも「お手柔らかに」とにやりと笑った。
そして、2月5日ーーー
B級ランク戦ROUND2でゆーまくん達玉狛第2と対戦することとなる。
(20170703)
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