大規模侵攻A
無事に東さん達と合流した私達荒船隊は、ひとまず狙撃地点を決めることになった。さっき本部に大きなトリオン兵ぶつかってたけど大丈夫なのか…。A級一位の太刀川さんのお陰で本部が無事だと聞いて顔が青くなった。

「太刀川さんこわい」
「ランク上の人をとりあえず怖いって言うのやめたら?」

半崎くんの呆れたような視線に目を逸らすと、目があった東さんが「すごいって言いたいんだよな」と笑って言葉を挟んだ。はい…そうです。

「五月、遊んでないで行くぞ」
「遊んでないです」

何故か私だけを叱った荒船先輩に釈然としないまま、苦笑した東さんを横目に私の狙撃ポイントを確認する。荒船先輩達と同様に確認した建物へと向かおうと体を翻すと、「がんばろうな」と奥寺くんに声を掛けられた。コアラくんは新型にやられたんだっけ…。「がんばろうね!」と応えようと口を開くが、新型接近中という倫ちゃんの声が聞こえ口をつぐむ。………早く移動しよう。

ビルの階段を駆け登りながら鈴鳴第一がB級合同部隊に合流した報告を聞く。鋼さん一人で新型相手してるって…大丈夫かな…。頼ってと言った彼は、今ここにはいないんだ。
ビルの屋上に辿り着くと、すでに新型と交戦していた東さん達を援護するため、すぐにイーグレットを構える。
今日ほど、すぐ傍に誰もいないことが不安だったことはないだろう。

それでも、大丈夫なんだと思っていた。

しばらくすると、東さんと一緒に地上にいた太一の口から「人型近界民」という言葉が発せられた。まさかと思っているうちに茶野隊が緊急脱出してしまう。こちらへ向かってくる東さんにハッとして、震えながらスコープを覗いてその時を待つ。そんな…太一まで…。
東さんが連れてきた人型近界民が目に入ると、突然頭の中が真っ白に埋め尽くされた。撃たなきゃいけないのに………手が震えて引き金が引けない。



私は、

(20170623)

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