冬休み!
「冬休みだー!」

担任が教室から出て行った途端、ガタリと音を立てて立ち上がった佐鳥は、「やったー!」と両手を上げて喜んだ。仲のいいクラスの男子に「遊び行こうな!」と誘われて頷いた彼は自分が冬休みも忙しいことを忘れているのか。

「五月冬休みだよ!」
「うん」
「うんって」
「私はまだランク戦あるから…」

B級ランク戦はまだ数試合残っている。私の言葉にハッとした佐鳥は、「ランク戦終わったら遊びに行こう!」と焦ったように言い繕った。

「えー」
「えーって!」
「嵐山隊忙しいでしょ…」
「うっ」
「来月の入隊指導の担当も嵐山隊なんでしょ?」

嫌みではなく、広報担当の嵐山隊は実際多忙だ。学校や本部で会うことはあれど、わざわざ遊びに行くことは今までなかったはずだ。教室内の浮かれた空気に触発されたのだろうか…。

「また一緒にご飯食べるとかでいいよ」
「うう…あとでシフト合わせようね」
「うん」
「入隊指導もがんばろうね」
「うん?」

どういうことだ。きょとんと首を傾げると、佐鳥も同じように首を傾げた。え……な、なに?

「次の入隊日、五月も狙撃手の新人一緒に見てくれるんでしょ?」
「えっ…見ないよ!」
「え!?」
「えっ」
「嵐山さんがそう言ってたけど」

なにそれ聞いてないよ。

混乱した頭で半崎くんに視線を向けるが、チームメイトは気まずそうに目を背けた。 え?荒船隊も入隊日の手伝いするってこと?ねぇ、私聞いてない。


(荒船先輩!来月の入隊指導うちも手伝うんですか!?)
(俺とお前だけな)
(!!!???)


20170418

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