半崎くんと私C
お土産にともう1つ棒付きキャンディーをくれた小佐野せんぱいにお辞儀をしてから「次に対戦するの楽しみにしてます」と諏訪さんと笹森くんに叫んで作戦室から出ると、扉のすぐ横の壁に寄りかかっていた半崎くんとぱちりと目が合った。

「言い逃げ」
「う、いいでしよ………中入って来ればよかったのに」
「楽しそうだったな」
「うん?」
「…………」
「なに……?」
「別に。先輩達待ってると悪いから行くぞ」
「えええ…気になる!」

スマホをポケットに入れてスタスタと歩き出した半崎くんに駆け寄って顔を覗き込むと、少し不機嫌そうな表情が目に映った。
んんんん?前にも似たような感じあった……?

「どうしたの?飴いる?」
「もらったやつだろ」
「私はさっき食べたから…ほしいなら…」
「いらない」
「そう…」
「飴が欲しかったわけじゃないし」
「ふーん…拗ねてるのかと思ったのに」
「……は?」
「やきもち?」
「は?」
「怒らないでよ!」

冗談で言ったのに…不機嫌そうな顔はさらに険しくなってしまった。だって、こないだ佐鳥が拗ねたときと似た感じがしたんだもん。そう言ったら、半崎くんは黙って顔を逸らした。

「泣いた?」
「泣くか」
「佐鳥泣いたよ」
「マジか」
「ねぇ、ほんとにやきもちじゃないの?」
「しつこい」

こっちを見ない半崎くんにむっとしながら、今度は私が前を歩く。別に隠さなくてもいいのに…。私も荒船隊のみんなが私を除け者にして他の人と話してたらやきもち焼くよ。

「…やきもちだったらどうしたんだよ」
「笹森くんに自慢する!」
「なんでだよ」
「だって、私いっつもやきもちやいてるから」

男の子の友情には割り込めない部分もあって、時々もやもやしていた。自慢したって…笹森くんはいつもみたいに笑って聞いてくれるだろうけど。

「私が男の子だったらもっと一緒にいられるのに」

そう言って振り返ると、半崎くんは何とも言えない表情で「十分一緒にいるだろ」と私を見返した。


(あー!男の子だと倫ちゃんに可愛がってもらえない!……やっぱり今のままでいいや…)
(そうだな)
(!?…なんで叩いたの!?)
(五月はそうだよな)
(何が!?)

20170216

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