母親と妹がBar Calmの扉を開けたのは、開店を5分過ぎたころ。 「お姉ちゃんやっほ〜」 定位置のカウンター席に座る私を見つけた妹は、無邪気な笑顔で手を上げたけど、後ろに続くお母さんは既に品定めするように店内を見回してて、その鋭い視線、苦手だなって思った。 でも押されちゃいけない。ここは立派なBarだし、義勇さんはマスター。文句をつけられるようなことなんて何もしてないから、堂々としてていい。 私がビクビクしてたら、母親はそこから攻めてくるから。いっつもそう。そういえば、それでいつも負けてる気がする。 義勇さんがカウンターから出てこようとするのを「大丈夫です」って止める声はすごい落ち着いててちょっと怖いけど、大丈夫、平常心。 「ご挨拶が遅くなってすみません。名前さんとお付き合いさせていただいております冨岡義勇と申します。本日はご足労いただき、ありがとうございます」 深く頭を下げる義勇さんは、正直初めて見る義勇さんで、勝手に心臓が速くなっていく。 「初めまして。先日はご挨拶に来ていただいたのにお会いできなくてごめんなさい。改めまして、名前の母です。いつも娘がご迷惑をおかけしております」 同じようにお辞儀をするお母さんも、初めて見る気がする。 こんな丁寧に挨拶するとは思ってなかった。絶対最初から質問攻めで始まるだろうなって警戒してたから、ちょっと意外。 「いえ、ご迷惑をおかけしているのは私の方です。名前さんにはいつも助けられております」 「そうですか?この子でも役に立ってるなら安心しました」 何だろう。この空気感。すごい緊張してきた。 でも私がこのまま黙り続けるのも良くない気がする。 「お母さん、とりあえず座りなよ」 「しつれいしま〜す」 「アンタじゃないんだけど……」 暢気な顔で隣に座ってくる妹につい突っ込んでしまった。 「失礼します」 それでも続いて腰を掛ける母親にはちょっと安心してる。 「ね?言った通りちょーイケメンでしょ?」 「そうだね」 軽く受け流してるけど、妹が被ってるせいで肝心の顔色が見えない。何考えてるんだろう? 「折角なので、一杯作らせていただいてもよろしいでしょうか?」 あ、義勇さん、いつもの"注文は?"じゃないんだ。 でも確かにこういう訊き方の方が上品っていうか、相手を立ててるって感じがしていいかも。 "バーマン"なんだなって、今更なんだけど、すごく思った。 「いいですか?じゃあ」 できた間には息を呑んだけど、大丈夫。ルビー・フィズの材料はちゃんと用意してるし、義勇さんも心構えできてるから100%の力が出せる。 きっとカクテルを呑んだら母親だって唸るに決まってるし嫌でも認めざるを 「コーヒーをお願いします」 ……え? こーひー…? 意味が理解できない私をよそに、妹は「私オレンジジュース!」とか言ってるし、義勇さんは涼しい顔で「承知しました」って答えてるし、え?あれ? 「は?」 「何その顔」 妹越しに目を窄めてくる母親も意味がわかんない。 だってあれだけ何呑もう〜とか盛り上がってたじゃん。それで最終的にルビー・フィズ呑もうとか言ってたあの時間は?え?夢?幻? 「カクテル呑まないの?」 なんとなく嫌な予感がして訊き方を変えたのは、多分さっきの義勇さんのおかげ。 「あー、昼間ちょっと立て込んじゃって、お母さん車のままで来ちゃったから呑めないの」 「……。そうなんだ」 イレギュラーすぎる。この可能性は考えてなかった。 でも何もコーヒーじゃなくても、シンデレラとかプッシーキャットとか、義勇さんの技量がわかるようなカクテルはたくさんあるのにって言いかけた口を噤んだのは、真剣な表情でコーヒーを淹れ始める姿を目に止めたから。 「へー、すご。本格的〜」 妹と同じっていうのが悔しいけど、そんな感想が浮かんだ。 銀色のケトルとか、あれ、なんていうんだっけ?ガラス製の上にフィルター置いてコーヒー入れると下に溜まっていく器具。とにかくそういう 「円錐のドリッパーなんてあるのね」 そうそう、ドリッパー!スッキリした。 ってそうじゃなくて、私も初めて見た。コーヒーを淹れる義勇さん。バーマンさんっていうより、カフェの店員さんみたい。どっちにしても、すごいカッコイイし似合う。 「お待たせしました」 そう言ってソーサー付きのカップを差し出す姿が、ますますそう見えてくる。 昼間は"Cafe Calm"とかいいかもって考えたけど、今はそうじゃないって意識の外へ追いやった。 その間にもカウンターテーブルに置かれるガラス瓶に詰まった角砂糖と、牛の形をした白い陶器をまじまじと見つめる。 「あらやだかわいいミルクピッチャー」 今までよそ行きの声を作ってた母親が素に戻ったのもちょっと面白かったけど、それ以上に面白いのがそのオシャレさ。 こういうのあったんだ。初めて知った。 義勇さんの趣味なのかな?とか、色々考えてるうちに、オレンジジュースはピルスナー・ゴブレットに並々と注がれて、ふちに添えられたカットオレンジがより一層特別感を醸し出してる。 「やばっ。めっちゃ大人っぽ〜」 妹の言い方はバカっぽいけど、喜んでるのは確か。 カクテルじゃなくても、こんなにキラキラさせられるなんて、ほんと義勇さんって魔法使いみたい。 ニヤケそうになる口元は、紺碧色の瞳と目が合って止まった。 「何を呑む?」 「…え?あ……」 私? やばい、何も考えてなかった…! こうなったら2人があっと驚くようなカクテル……、そうカームとかって一瞬思っただけでやめた。 そんな状況で凝ったカクテルを作ってもらっちゃったら、それこそ母親への対応とか返答が疎かになる。そしたら絶対態度がどうのって始まって、最終的には止まらない説教に発展しそう。っていうかする。絶対に。 私がここで足を引っ張ったらダメ。 でもすぐ思い浮かぶカクテルっていったら―… 横目で見た陶器製の牛に、気が付いた時には自然と口が動いていた。 「カルーア・ミルク」 Drink at Bar Calm ロックグラスに満たされたベージュはこの間よりも薄くて、気遣ってくれてるんだなって嬉しくはなる。 私のオーダーに少しだけ目を見開いてたような気もするけれど、すぐに背を向けた意味もそれが私に対しての気遣いなんだってわかった。 もしあの時の事件が母親の耳に入ったら、義勇さんがどんなに完璧に気に入られたとしても、ここに通うことは許されなくなる。 だから、ごめんなさいって強く思った。 きっと義勇さんは、私よりあのことを気にしてる。カクテルを出した瞬間の伏し目で、ようやく気付いたから。 私は私で、気にしていないというより、もう時間も経ってるし直接何かされたわけじゃないから、今は正直、そこまで怖いとも思わない。もう会うこともないっていう安心感もあるし。 カルーア・ミルクの名前を出したのも、ミルクとコーヒーの匂いで、あ、懐かしいなって。今なら嫌な記憶じゃなくて美味しく呑めるんじゃないかなって、そんな軽い理由からだった。 母親からの尋問に近い内容にも丁寧に答えながら、時折こちらを気にかけてくれる紺碧色に、少しだけ涙が出そう。 「ねぇ、それ実はコーヒー牛乳じゃないの?」 なんて、アホみたいなこと訊いてくる妹にも。 わかってるんだけどね。この子はこの子で場の空気を読んでるって。 多分、お母さんにも義勇さんにも、私にも気を遣ってて、そういう立ち位置に敢えていようとするって、最近ちょっとこの子の考えてることがわかってきた。 だから、お母さんは信用するのかも知れない。 「へぇ、若いのにしっかりしてるのね」 関心してるのは多分本当だと思う。そのあとに続く攻撃がないから。 嫌味だったら畳み掛けてるもん。そうやって口だけのメッキを剥がしていくって、ずいぶん前に近所のおばさんと揉めた時だっけかな?そんなこと言ってた。 「義勇さんのご両親は、どのような職に就いていらっしゃるの?」 急にすごい突っ込んだ質問に、思わず怪訝な顔になってしまう。 「おか「止めない方がいいよ」」 聞こえないように止められて一応、妹は私の味方なのかもって思った。 今は、の話だけど。 でも、まったく何にも話してなかった私も私だってわかってるけど、会ってすぐにそういう話をするのってすごい土足で踏み込んでるって思ってしまう。 しかも今ここでそんな情報知っても意味ないし。 「両親はいません。私が子供のころに病死しました。その後は16歳を迎えるまで児童養護施設にお世話になっています」 淡々と答える表情は変わってないように見えるけど、心の中でどんなことを思ってるかなんて誰にもわからないから、もし傷付いてたらそれだけで私はやだ。 「そうなんですか。だからしっかりなさってるのね。その歳で店舗経営なんて、この子にも見習ってほしいわほんと」 だからって何?って思っちゃう。突っかかっていきたくなるのが子供。そう言われるのもわかってる。 けどさ、そういうのって、"だから"とかいう言葉で終わらせられるものなの?バーマンさんが頑張った結果じゃん。別に環境とか関係なくない? ってどこからどこまでかわかんないけど、とにかく口に出そうとしたのに、妹に足を蹴られた痛みで一瞬遅れた。 「雇われの身なので大層なものではありません。それどころか名前さんの助言がなければ、この店が存続していたかも危ういところです」 謙遜する義勇さんに、鼻の奥がじんと痛くなる。 それが嘘じゃないって、わかるからかな。 「あら、この子そんな役に立ってました?いっつもボーッとしてるのにねぇ」 また素の口調に戻る母親の先導で、自然とCalmをコンサルしたって方に話が飛んで、その後は帰るまで穏やかっていうか、至って普通だった。あくまで私が感じた限りだけど。 その後すぐくらいにお客さんがちょっとずつ流れてきたから、深い話をしなかったっていうのもある。 ただ途中で母親が発した 「義勇さんは将来については考えてたりするの?」 っていうまた失礼な質問に 「俺は出来れば、名前さんと結婚したいと考えています」 すごく真っ直ぐ、一人称を変える余裕もないくらい本当に真っ直ぐ出してくれた答えにニヤけるのを隠すのに必死だったのは、今思い出しても嬉しい以外ない。 「生絞りジュース、めっちゃ美味しかったぁ」 ふぅ、とお腹をさする妹を斜め後ろの座席から見る。 「飲み過ぎじゃん」 思わず呆れながら言ったけど、気持ちはわからなくもない。 義勇さんが作るフルーツジュースはどれも美味しいから。 会話の流れで、オレンジ、パイナップル、レモン、グレープフルーツと次々に頼んでいったこの子が「お腹いっぱ〜い。眠〜い」と言ったことでお開きになったのも、ちょっとは感謝してる。 焼き肉奢るほどじゃないけど。 むしろお会計の時に一切お金を受け取ろうとしなかった義勇さんに奢りたいくらい。 だって単純に考えて、妹だけでも何千円ってレベルで呑んでるし。 でも頑な態度にちょっと機嫌悪くなりそうっていうのも瞬時に読んだみたいで、 「今度はカクテルを呑みに来てください」 そう言って下げた頭には、母親も思わず動揺してたし珍しく引き下がってた。 まだたった1回、しかも数時間っていう短い間だったけど、良い印象は残せたんじゃないかなって、自信はある。 だから頬が弛んでしまうし、流れてく景色にも嬉しさが増してく。 帰ったらすぐに仮眠とろう。義勇さんから連絡きた時、眠そうにしたくないし。 お礼もそうだけど、話したいことがほんとにたくさんある。 そういえばさっきお母さんがコーヒー頼んだ時、全然なんにも驚いてなかったの、何でだろう?それともちょっとは驚いてたのかな? あの陶器の牛とか、どこで買ったのかとかも訊いてみたいかも。ああいう小物系とか一緒に見に行ってみたいな。義勇さんとならきっとどこ行っても 「あのねぇ、名前。言いづらいんだけど」 突然呼ばれた名前もそうだけど、続く言葉にニヤけっぱなしだった顔が一瞬にして真顔になった。 「何?言いづらいなら言わないで欲しいんだけど」 せめてもの反抗にそう言ってみる。運転中は物理的なものが返ってこないってわかってるからできること。 「あの人はやめときなさい」 あー、うん。なんとなく、予感はしてた。そう、言いづらいって言われた時点で。 だけど、何でだろう。実際言われるとすごい心臓が痛くなる。 「……。何で?」 だけど少しは成長したから、ちゃんと冷静に訊き返してみた。 何がダメなのかほんとに全然わかんない。お母さんだって結構楽しそうだったじゃん。何で急にやめとけってなるの?意味わかんない。 「あとで話すわ」 それだけ言って黙りこくるのってすごい卑怯だと思う。思うけど、ここで私がぎゃーぎゃー言っても絶対何も返ってこないのもわかってるから、仕方なくまた景色を眺める。 あとでって言うなら何で今どん底に突き落とすようなこと言うかな? さっきまで楽しかった気分がぐちゃぐちゃ。 何で?どこが気にくわなかったの?義勇さん、すごい頑張って話してたのに。あんなに丁寧に言葉を選んで答えてるの、私初めて見たんだよ?それがダメだってこと?わかんない。意味わかんない。何で? 無性に悔しくなって、泣きたくもないのに零れた涙は何とか一粒だけで我慢したけど、チラッと見てくる妹がちょっと心配そうにしてるのが伝わってきた瞬間、また泣きたくなった。 * * * リビングのテーブルで膝を突き合わせながら、ただ目の前の顔を見る。 「そんな睨まないでくれない?」 溜め息混じりに言われたから、代わりに目を窄めた。 頭の上から物音が聞こえて、ちょっとだけそっちも見上げてみる。 多分妹がスマホ持ったまま寝落ちしたのかも知れない。 「だって納得できないじゃん。いきなりやめとけって何?何で?」 今の私は、もうこれでもかってくらいに敵意剥き出し。 母親が怖くないわけじゃないけど、こればかりは両頬抓まれようが引かないし引けない。 「後悔するから」 そう言って息を吐いた母親の気持ちなんて、こっちにはわからない。 「何を?何が?」 「ちゃんと聞きなさいよ人の話」 「聞いてんじゃん。ちゃんと聞き返してるよ」 「そういうことじゃなくて冷静になって聞きなさいって言ってるの。アンタがあのバーテンダーのこと好きなのは「あのバーテンダーじゃないし。ちゃんと名前で呼んでくんない?」」 こういう、自分が認めてない人を名前で呼ぼうとしない母親の性格も正直好きじゃない。 失礼すぎる。いくら自分と合わないからってそういう名前とか存在までなかったことにするのって違うと思う。 「そういう嫌味で言ったんじゃないよ。アンタ最近、変に深読みするようになったね」 さっきより深い溜め息に、ちょっと黙ってはみた。あんまり喋るとそれこそボロが出そうっていう悪い予感もする。 「義勇さん、ね。いい人だと思うよ?お母さんも。礼儀はなってるし誠意も伝わってくるし。ちょっと喋るのは下手だけどね」 あ、そこは見抜かれてたんだ。義勇さん、すごい頑張ってたんだけどな…。 「お母さんが言いたいのは、内面じゃなくて環境の問題」 「環境……?」 「名前は想像できてないから敢えて言うけど、結婚式挙げるってなった時にどうするの?彼、親族いないんでしょ?」 「お姉さんがいるって言ってたけど…。どういう意味?何でいきなり結婚式?」 ちょっと飛躍しすぎじゃない?私でさえそこまで考えたことないんだけど。お母さんって意外とそういう人生の一大イベント系、好きなの? あー、でも義勇さんのタキシード姿とか考えるとすごいカッコイイ。 「……アンタほんとボーッと生きてるよね」 「は?なんで今悪口言うの?」 「家族がいないっていうのはね、一生付き纏うんだよ?わざわざそんな人選ばなくたっていいでしょって言ってるの」 「……。ちょっと待って。意味わかんない。お姉さんいるって言ってるし、それってそんな重要でもなくない?」 「いつかお母さんが言ってる意味わかるよ」 出た、そのセリフ。 呆れたように溜め息吐いちゃってさ、絶対そうなるんだからみたいな態度。 実際、確かに言う通りになってきた方が多いんだけど、今回だけは絶対折れない。 「何言われても義勇さんと別れたりしないから」 勿論それは、義勇さんが私のことを好きでいてくれる限り、だけど。 絶対もう自分からは諦めないって決めたんだ。1回逃げたから、もう何かのせいにして好きって気持ちを誤魔化したり隠したりしない。 「アンタ、耐えられるの?」 「何が?」 また溜め息吐かれたけど、全然その意味がわかんないから次の言葉を待った。 「バーテンダーなんてただでさえモテるのに、加えてあの容姿じゃ余計に誘惑多いんだよ?」 「大丈夫だもん義勇さんは!」 「大丈夫じゃなかった時にどうするの?」 大丈夫じゃ、なかった時…? 「もしも万が一不可抗力でも何でも、何かがあった時だよ。どうするの?」 「……どうするのって…」 「それでも好きでいられる?」 「……。そんなの…」 言葉が出てこなくなってしまった。 当たり前じゃん、って即答出来ない自分がいる。 「男の人と付き合うってことはそういうことだよ?恋愛経験もロクすっぽないアンタにはかなりハードル高い相手だと思うけどね」 だからやめときなさいって言ってるのにって、また吐いた溜め息は椅子を引く音で掻き消された。 「一応、忠告はしといたから。あとは好きにしなさい」 それだけ言って台所に向かうお母さんは卑怯だ。 言いたいことだけ言って、好きにしなさいって何? 大丈夫って信じるのは、いけないこと?そういうのを大前提にして付き合わなきゃいけないってこと?それって、つらくない? つらいって思うのはダメってこと? いつの間にか辿り着いた自分のベッドにダイブして、目を閉じた。 そんなこと考えてる場合じゃなくて寝なくちゃ。 きっと3時前くらいにはLINEが来るから、それまで寝て、元気出さなくちゃ。 今頃、義勇さんは頑張ってる。だから私も頑張らなきゃ。 母親に何言われたって関係ないよ。いちゃもんつけられるのはいつものことだし、気にしたら負け。 アラームを掛けようと握り締めたスマホで、何を思ったか"Calm"と検索する。 SNSってすごく便利。こういう時、簡単に引っ掛かるんだもん。 "初めて入ってみたバー" ハートの絵文字付きで投稿された今日の日付に、自然と親指が動いた。 見知らぬ綺麗な女の人。 自撮りしてるその手にはショートカクテルが収まっていて、見切れているバックバーは見覚えのあるものだった。 "めっちゃカッコイイバーテンさんだったからコレ頼んでみちゃった!誘い乗ってくれるかなぁ?" そこに連なるコメントは、多分友達とかなんだと思う。 "何のカクテル〜?" 陽気な質問の後に続く言葉は、見なければ良かったってすぐに後悔した。 お母さんが言ってたことって、こういうことだったんだって痛む胸で納得してる。 大丈夫って思うだけで、上手くいくほど世の中は甘くない。知ってたけど、あんまり実感はしたくなかったかも。 八つ当たり気味にスマホを投げて寝ることに専念したのは、多分何も考えたくなかったからだと思う。 Between The Sheets あなたと夜を過ごしたい ← ×
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