Drink at Bar Calm | ナノ
"感謝"って言葉はそのまま義勇さんの今の気持ちなんだろうなって、缶詰じゃなくて今カットされたばかりのオレンジを口に運びながら考える。

片付けを始めた横顔は何も言わないけど、不死川さんに対してきっとすごく"感謝"してるんだって伝わってきたから、私がこれを食べてしまうのはちょっと申し訳ない気持ちにもなった。

でも、ついつい「おいしっ」って声が出た時に目を細めてくれたからそれはすごく嬉しい。

「……義勇さん、手、どうかしたんですか?」

思わず首を傾げたのは、洗い物を終えたその手をおしぼりで包んでいるのに気が付いたから。

「冷やしすぎた」
「え?」
「10分以上のシェイクは流石に指先にくる」
「だ、大丈夫ですか!?」
「そこまで心配することじゃない。しばらくすれば元に戻る」

それは多分、そうなんだけど、でも……。
おしぼりがあったかいっていっても、それもすぐに冷めちゃうし……。

義勇さん、ポーカーフェイスだから全然変わんないしけど結構辛いんじゃないかなって思ったところで「あ」って声が出てた。

「どうぞ!」

差し出した両手にその瞬きが早くなった、気がする。

「私の手、ポカポカですよ!?」

そう言ってから、あ、でも手洗ってないって焦った。
おしぼりで拭いたけどそれっきりだから……。

「あ、ちょっと待ってくださいね!?ちゃんとこう、洗って……」

思わず目を見開いたのは義勇さんの両手に包まれたからなんだけど、それがほんとに氷みたいに冷たくてビックリしてる。
あ、でもほんとにちゃんと

「確かに、温かい」

拭いてないとか洗ってないとか、柔らかい表情にそんなのどうでもよくなってその冷たい手を包み返した。

「こっちだけでいい」

左手へ絡む指にドキッとしてしまって、頷くだけで精一杯。

「ラモス・ジン・フィズはどうだ?」
「あ?え?」
「まだ呑んでないだろう」

さすが義勇さん、私があんみつに夢中になってたのちゃんと知ってた。

「いただきますっ」

少し時間が経ってるのにタンブラーグラスの縁まで届くきめ細やかな泡を一口運ぶ。

「……え?おいしっ」

舌に乗った瞬間、思わず目を丸くなった。

正直ただの泡なのかなって思ってたから、こんなに味がするものだと想像してなかったっていうのもあるけれど、何だろう?

「すごく、和っぽい……?」

思わずそう呟けば、義勇さんの表情がますます柔らかくなったように感じる。

「それに合わせたレシピにしてみた」

視線を追えば食べかけのあんみつがあって、すごく納得した。

「これって、何が入ってるんですか?」

気が付いた時には身を乗り出してる自分がいる。

レモンジュースが入ってるのは何となくわかった。お酒自体もそこまで強くない。あと何だろ。炭酸水は確実だけど

「ドライ・ジン、レモンジュース、生クリーム、卵白、それと和三盆だ」

あ、だから……。

「和三盆って砂糖ですよね?確か結構高級だって…」
「そうだ。良く一口呑んだだけで気が付いたな」

褒められてるみたいで、すごく嬉しい。

「今までと違うテイストだったから……」

でも自信なんてなかったから、合っててホッとしてる。

「不死川さんって、和菓子系が好きなんですか?」

ふと沸いた質問をすれば、義勇さんの頭が小さく動いた。

「見ている限りではそうだ」

だから、なのかな。上手く言えないぶん、こうやって一生懸命"感謝"を形にしたのかな。

全部後から知ったから答え合わせなんだけど、不死川さんが家具を組み立ててる間、義勇さんはずっとこれを作ってたんだなって思うと、何だか不器用に見えてきた。

言ってくれれば良かったのに、なんて笑っちゃう。

でも驚かせたかったのかも知れないな。

「今度は私も引き留めますね。不死川さんのこと」

怖いけど、それはねちょっと…、だいぶ怖くて挨拶しかできなかったけど、悪い人とかじゃないっていうのは義勇さんの態度でわかってるから、そう言ってみる。

「それは助かる。不死川は基本、俺の話を聞かない」

そう言い切った義勇さんには、そうなのかな?って首を傾げたくなったけれど、そういうことにしとこうって思った。


Drink at Bar Calm


「そういえば、どうしてテーブルも一新したんですか?」

ずっと気になってたことを訊ねられたのは、繋いだ手が少しあったかく感じてきてから。

最初はあっためるのに夢中で気が付かなかったけど、こんな風に長く手を重ねることなんてなかったから、今になって緊張してきてる。
意識しないように思えば思うほど掌がしっとりしてきてる気がした。

「カウンター椅子は」

そう言って店内を見回す義勇さんの瞳は、すごく愛おしいものを見つめているみたい。

「座面が高いぶん座りづらいだろう?」

でも急な質問に頭が追いついていかなかった。

「へ?」

えっと、この椅子のこと?

「あー……、はい。確かに」

実は最初の頃、そこに座るのも降りるのも結構大変だったのを思い出す。

「慣れてなかったから、手こずってたな」

まるで心を読まれたみたいで、すごくビックリした。
っていうか、それもバレてたんだ。何かちょっと恥ずかしいかも……。

「店内全てをカウンター椅子にするのは、下手すれば客足が遠のく危険性があると言われた」

不死川さんに、かな?そうだよね。話の流れからして。

「それならスペースは取るがゆったり座れるスペースを確保した方が今後のためになると聞いたので、納得した」

そこまで説明を受けて、思わず大きく頷いてた。

「そっか。確かに今の方が敷居は高くないかも」

それこそ友達同士でもちょっと呑みに行こうかなんて雰囲気を作りやすいし、恋人同士ならカウンター席より近くに感じられそう。

「それならスツールとか使えば一時的な増客にも対応できそうですね」

思い付いたままを言えば、義勇さんの瞳がちょっと動いた。

「そうか。……不死川に頼んでおく」

怒ってる顔が瞬時に浮かんでちょっと複雑な気がしたけれど、きっと不死川さん、またセンスのいいものを探してきてくれるんだろうなって期待もしてる。

あと、少し……

「あの、義勇さん」
「何だ?」

これも期待しちゃってる。

「座ってみてもいいですか?あのソファ」

見たからにフカフカそうで、どうにも好奇心が治まらない。

他にお客さんがいたら我慢するところなんだけど今はいないし、ちょっとだけなら許してくれるかな、なんて。

「構わない」

すぐに即答してくれる優しさが嬉しい。

でも途端に離れていく手で思い出す。

「あ、あの!義勇さんの手があったまってからでも!」
「もうだいぶ感覚は取り戻した」
「……あ、えっとじゃあ、ちょっと座ってきます!パーッて座って!すぐ戻ってきますんで!」
「そのまま座ってていい。カクテルも持っていく」
「いいんですか?」

コクッと小さく動いた頭を確かめてから、席を立った。

「あ、カクテルは自分で持っていきますっ」

そう言ってタンブラーグラスとコースターを両手に持って、恐る恐るソファへ腰を下ろしてみる。


「……わぁ」

自分でも無意識の内に声を上げたし、何より驚いてる。

思ったよりしっかりと支えてくれるそのソファもそうなんだけど、初めての視点でみるCalmは、何だかとても新鮮に感じた。

「どうだ?」
「とってもいいです!いいなぁ、これ!部屋に欲しいくらいっ」

自分のだったらボスボス跳ねてるところだけど、さすがにそれはできないので掌で感触を確かめる。

すごいなぁ、不死川さん。
良く見たらブラックに近いネイビーで、縫い目には暗めのオレンジの糸が使われてる。義勇さんがイメージしてたのとピッタリだ。

「ここでお酒呑んだら気持ち良くて寝ちゃうかも」

なんて冗談が出た。そんなことしないけど。さすがに失礼すぎるし。

「それも目的としてる」
「へ?」

瞬きをする間に隣に座った義勇さんに、また心臓が大きな音を立てた。

「これから先、閉店まで待たせることも多々あるだろう」

それって、どういう意味?なんて考えなくてもわかるから顔が熱くなっていく。

「その間休むのに使ってくれ」
「え、でも、そしたら他のお客さんに迷惑だし……」
「客が寝ている光景は夜中のBarじゃ珍しくない話だ」
「それだったら私が上で待ってればいいじゃないんですかっ?」

そんなわざわざ私のための場所を確保しなくたって……。

「上には鍵という鍵がない。もし誰かが侵入してきた場合、地下にいる俺が気付くことは難しい」

あ、そっか。だから、

「それに」

俯きがちになるその表情、好きだなってこんな時でも自然と考えた。

「ひとりで待てるか?あの場所で」

一瞬、点になった目は思い出したことで潤んでいく。

「無理ですっ」

お手洗い借りた時ですら、広くて静かだから怖いなって思ってたのに、夜中ひとりであそこにいろって言われたら無理としか返せない。

「そうだろう」

フッて短い笑いが混じったその声は色気があって、またドキッとしていく。

あ、でもこれだけは言わなきゃ。ちゃんと。

「あの、ありがとうございますっ!」

頭を下げた勢いのまま上げれば、ちょっと驚いた顔があった。

「お店のこととか考えるだけで大変なのに、私のことまで気を遣ってくれて…、すごく嬉しいですっ」

これから先、義勇さんの中に私がいることが本当に、言葉にならないくらい嬉しくて堪らない。

「だからあの、お言葉に甘えてですね!寝ることにします!」

何て言ったらわからなくて握り拳まで作って放った決意が何か違うって知ったのは、その呆れ顔を見てから。

「……お前は」

笑いを噛み殺してるっていうのがわかった瞬間、恥ずかしさが込み上げるのに近付いてくる顔に混乱するしかなくなった。

ポフッ、て軽い音がしたかと思えば背中の感触と見上げる義勇さんの姿で、押し倒されてるっていうのを知る。

「どうし「こうされることは微塵も考えないのか?」」

こう、されること?

「か、考えてませんでした!すいません!」

だって仕事中だし忙しいし、待ってる間心配かけるくらいなら寝てた方がまだマシかなって……。

咄嗟に謝ったのは自分でもよくわからないけど。

「でもっ、そんなCalmで、そんなことっはっ、しないんじゃないかなって!」

近い距離で見つめ合うのがもう恥ずかしくて居た堪れなくて次から次へと言葉が勝手に出てくる。

「本当にそう思うか?俺がそんな人間だと」
「思います!だってバーマンさんにとってここは大事な場所だしっ!さ、っきもほら、そういうことはしないって言ってたしっ!」

あれ?違うかな。そういう意味ではなかったかも。って記憶を辿る前に押し当てられた柔らかい感触に目を閉じた。

「……ん、っ」

長く長く絡んでくる舌についていけないって思ったのを見計らったように離れた口唇から耐え切れず新鮮な空気を吸う。

「"しない"とは一言も言ってない」

ちょっと強めな口調が怒ってるんだってわかって、謝ろうとしても息をするだけで精一杯だった。

「ぎゆ、うさんっ…」

そういう意味じゃなかったんだって説明したいんだけど、名前を呼ぶだけで閊えてしまう。

だけど左手が頬に触れた瞬間、

「つめたっ!」

思わず叫んでしまっていた。

「……。"こっち"はまだ冷たい」

あ、そっか。私さっき右手しか温めてなかったんだ。
離れていく前にその手を両手で包む。

「じゃあっ、あっためます!」
「いい」

その言い方、やっぱりちょっと怒ってる。

「違うんです…っ!いいんです!さ、っき言えなかったけど!そういうことしたいって……義勇さんが思ってくれるのは、すごく嬉しくて…っだから、あのっ」

どうしよう。すでに自分が何言ってるんだかも、何を言いたいのかもわからなくなっちゃってる。

義勇さんのこと傷付けたいわけじゃないのに。それだけは確かなのに、空回りしかしてない。

思わず黙り込んで流れた沈黙に、義勇さんが少し微笑んだような気がした。

「……そんな顔するな」
「ごめんなさい……」

意識しちゃうからいけないのかな?でもそんなの絶対無理だし、ドキドキしない、なんてできるわけない。

「ぎゆっ、さん……?」

考えていたから、気が付いた時にはそに腕の中にいてビックリした。

優しく包み込んでくれて、やっぱりドキドキはするんだけど、それ以上に嬉しい。

「……、。温かいな」
「…そんなにあったかい、ですか?」
「あぁ」

頷いたあとにはそれ以上喋らなくなってしまって、どうしようって一瞬思ったけど咄嗟に思い出した。

安心、してくれてるのかなって。さっきみたいに。

その背中は相変わらず大きくて広くて、やっぱり私の両手じゃ包めないけれど、ゆっくりゆっくり撫でる。

肩の力が抜けたように思えたのは、気のせいじゃないって思いたい。

そうしてる時間は、長くも感じたしあっという間にも感じた。

「そろそろカクテルの味が変わる」

そう言って離れた義勇さんはいつもの義勇さんで、少し寂しいっていうのも思う。

「そうですねっ…!」

気にしてない風に振る舞って、そこからはカクテルの話になったけれど、多分、ずっと頭の隅で考えてた。

私が義勇さんの"止まり木"になれたらいいのにって。

寂しいとか悲しいとか怖いとか、そういうの全部受け入れられるような"止まり木"に。

でもそんなの夢のまた夢っていうか、そんな風に感じたのは家に帰ってから。

「あら、おかえり。ホントに帰ってきたのね」

顔を合わせるなり、驚いたように母親に言われた。

「帰ってくるよ。ホントにって何?」
「この時間には帰ってくるって言うから」
「……誰が?」

ちょっとイラッとしながら聞き返したら、返ってきた言葉は予想外なもの。

「あんたの彼氏」

意味がわからなくて、一瞬全部が止まってた。

「は?」

義勇さんが?何で?

「あんたスマホ忘れていったでしょ?」
「まさか勝手に見たの!?」
「見てないよ。パスコード知らないし」

その言い方、知ってたら見てるのかなって思うとちょっと怖い。ってそうじゃなくて。

「じゃあ何で義勇さんと連絡取れるの?」
「番号知ってるから。あんたが家出した時に連絡くれたって言ったでしょ?」
「……あ」

そっか、そうだ。あれ?でも何で義勇さん、母親の番号わかったんだっけ?

「心配するといけないからってCalmに来てるってメールくれたの。あんたがお店出た時もね」
「……そう、なんだ」

義勇さん、いつそんなことしてたんだろう?全然わからなかった。

私ばっかり……、助けてもらっちゃってる。

「何その顔」
「……迷惑ばっかかけてる、から」
「は?あんたが迷惑かけるのなんていつもの話でしょ?どうしたの」
「違うよ!お母さんじゃなくて義勇さんにっ!」

甘える、なんて言ったけど、本当に甘えっぱなし。
私、義勇さんに何一つ恩返しもできてない。

"止まり木"になりたいなんて……、すっごい烏滸がましかったのかも。

「迷惑だって言われたの?」

厳しい口調で訊ねてくる母親にはどうにも身が竦む。

「……言われて、ないけど」
「じゃあ別にいいんじゃない?」

かと思えばそうやってあっけらかんと言うから、感情が追いつかない。

「よくないよ」
「……あんたホントに、そういうとこお父さんにそっくりだね」
「どこが?」
「臆病なの。あとよくわかんないところで遠慮するところ」

してないって言おうとしたけど、言えなかった。

「そのままで続くとは思えないけど?」

溜め息混じりに言われた一言にも、反論ができなかったのが余計にイラついてしまう。
でも「うるさいな」って言うのはぐっと我慢した。

「大丈夫だしっ!」

それだけ言うのが精一杯で部屋に籠ったのは、我ながら情けないと思うけど。

怒るっていうより悲しいっていうのが勝った気持ちは忘れていったスマホに溜まった通知を確認して和らいだ。

自分でも単純だなって思う。思うけどだって、LINEに溢れるのは義勇さんの言葉ばかり。嬉しくならないわけがない。

"母親とはどうだ?"

そんな心配から1時間後には、

"何かあったのか?"

って。その2時間後に

"寝たのか?"

朝早く…っていっても9時頃だけど、義勇さんにとっては早いと思う。

"今日は何が呑みたい?名前が呑みたいものを本日のカクテルにしようと思う"

その言葉に胸が痛んだ。

だから義勇さん、あんなに怒ってたんだって理由がわかったから。
それなのに何にも知らないで「今日のカクテルは?」なんて訊いちゃった過去の私を殴ってしまいたい。

だけど、そのお陰で義勇さんのこと少し、ちょっとだけ見えた気がする。

合ってるかどうかはわかんない。わかんないけど、私を想ってくれてるっていうのだけは伝わってきた。

だから私も応えたい。義勇さんのこと、こんなに好きなんだって、言葉にならない想いを伝えたい。

だけどうまくいかないから、もどかしいんだ。

スマホを持ったまま座り込んでいたことに気が付いて、とにかく謝らなきゃって文字を打とうとしたと同じタイミング。

"帰ったみたいだな"

送られてきたメッセージにドキッとした。

何で?って思ったけど、既読になるからわかるかって納得してすぐに返事を打つ。

"今帰りました!"

何も考えずにそれを返したのはいいけど、その後の文に迷った。

ごめんなさいとありがとうと、それから……。
どうしよう、伝えたいことが多すぎて打つのに時間がかかってる。

とにかくLINE見れなかったことを先に謝って、あと親に連絡してくれたお礼と……。

切り替わった画面にドキッとしたけど、息を整えてから通話ボタンを押した。

「はいっ」
『母親は大丈夫だったか?』
「……大丈夫でした!ありがとうございます!」

一言で終わらせたいわけじゃなかったのに、それしか言えなかった。

『それならいい』

そう言ってくれた義勇さんが、本当に心の底から思ってくれてるって伝わったから。

だから、私もちゃんと伝えるんだ。

ごめんなさいって謝るんじゃなくて、ちゃんと思うことを。

「あのっ、明日も行っていいですか!?」
『訊かなくともそのつもりだった』

嬉しいって思っちゃう気の弛みはぐっと堪える。

「それでっ、呑みたいカクテルがあってですね……!」

急いでタブレットを取り出して、文字を打った。

『何だ?』
「えーとちょっと待ってくださいね…!名前、何だっけな。確か」

調べてることを気付かれないように話を伸ばしてみる。

あった!これならきっと!

「そうだ!えーっと…、ケーブルグラム・ハイボール…です!」

言い切った瞬間から流れる沈黙は顔が見えないぶん余計不安が襲ってきた。

『カクテル言葉で調べたのか?』
「えっ!?何で!?」
『すぐにわかる』

そんなことないっていうのはどうしても言えなくて黙り込めば、暫くしてから小さく笑う声が聞こえる。

またうまくいかなかったな……。喜んでほしかったんだけど、やっぱり全然ダメ。

落ち込んでいってしまう心は、

『楽しみにしてる』

優しい声で嘘みたいに晴れていく。

「はいっ」

少し、少しだけでも喜んでくれたのかなって、伝わったのかなって思ったらすごく嬉しくて、あぁ、頑張ってみてよかったって、そう思えた。


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