更新とか

雛菊サブ見出し

(´・ω・)

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 ホテルの一室のような異空間で、男女二人が顔を見合わせていた。

「“一週間○○○をしないと出られない部屋”の呪い?」

 青年が呟いた。隣の少女は、顔を青くした。



「冷たいです!」

 悲痛な声の直後、バシャリと派手な音がした。低く落ち着いていた声色が少しだけびっくりしていて、可愛かった。そんな的外れなことを考えてしまった。だって、カップルに近い席に座っていただけなのに、こんな目に遭うなんて不憫過ぎる。不憫な少女……ルルは、ポタポタと水分が落ちる前髪の間から、バッグを持って出ていく少女の後ろ姿を遠い目で見ていた。

「すみません。巻き込んでしまって」
「え」

 視界の隅に、水色のハンカチ。彼女が顔を上げると、眉を下げた青年がハンカチを差し出していた。彼女は青年の姿にギョッとした。黒い制服!NRC生だ!驚きながらも、どこか納得。お店で女の子に水をぶっかけられてるRSA生よりも、NRC生の方が似合う。いや、似合うと言ったら、失礼だろうけど。

 彼女の通う魔法士養成学校は、賢者の島の離れ小島にあるそこそこの女子校。賢者の島への移動は、基本鏡である。そして、賢者の島には、あと残り二つ魔法士養成学校がある。その二つが、NRCとRSA。この二校は少女漫画に出てくる男の子たちの宝庫だった。優しい王子様のような男の子と、優しくなくとも抗えない魅力がある悪い男の子。そのどちらかが良いかは、完全に個人の好みによる。ただNRC生は少女漫画の範疇に収まらない悪い、または怖い噂も聞く。彼女は申し訳なさそうに青年が怖かった。彼女も原因は分からないのだが、美人で優しい人に、恐怖を覚えてしまうのだ。

「い、いや……えっと、ハンカチありがとうございます」
「完全に被害者なのに、お礼だなんて。優しい方なんですね」

 クスリ、と青年が笑う。彼女の頬がブワァっと赤くなる。このお兄さんか、かっこいい。彼女が固まっていると、青年が胸元からマジカルペンを取り出した。

「ですが、ハンカチだけで拭くには無理がありますね」
「いや、えっと、気にしな」
「風邪を引いてはいけませんから」

 青年がマジカルペンを軽く振ると、温風が彼女の身体を包み込む。小さな風に一瞬、目を閉じてしまった。次に目を開けたら、濡れていた髪も、服も全て乾いていた。ついでに、目の前の青年も同じように乾いていた。

「本当にすみませんでした」
「い、いえ。服乾かして貰ったんで……」
「最低限のお詫びですよ。では、僕はこれで」
「は、はい……」

 そう言って、青年はレジに向かって、そのままお店を出て行った。その五分後、彼女は自分の伝票も青年に支払っていたことに気付いた。



「困りました」

 ジェイド・リーチはパジャマの姿で、大きいベッドの隅に座っていた。いつも通り就寝したはずなのに、目を開けたら知らない場所に居た。恐らく、この現象は昔、問題になったマジックアイテムの所為だ。妖精たちのイタズラを人工的に起こそうと考えたとか、そんな安易な理由で作られたオモチャ。寝ている人間の脳に干渉するオモチャ。悪用しがいのあるオモチャ。

 ホテルのような一室。自分以外の他者の存在。この部屋から出る条件が書かれた紙または看板。通称、○○○をしないと出られない部屋。まあ、厳密に言えば、部屋ではなく夢ですけど。ジェイドは昼間にぶっかけられたのは水ではなく、魔法薬を水に擬態させたものだったんだろうな、とぼんやりと考える。だから、元恋人はわざと隣の席の彼女にまで水(魔法薬を)ぶっかけたのだ。

「完全に巻き込んでしまいました」
「……」

 すぅすぅと未だ目を覚まさない少女に、ジェイドは愉快そうに眉を下げた。





【ジェイnot監はお互いを下の名前で呼ばないと出られない部屋に入ってしまいました。】



【ジェイnot監はお互いをフェラでイかせないと出られない部屋に入ってしまいました。】



ジェイnot監はどちらかがキスだけでイかないと出られない部屋に入ってしまいました。部屋には媚薬が備えてありますが、使うかどうかは自由です。


ジェイnot監はお互いにえっちをする時の一番好きな体位とその理由を教え合わないと出られない部屋に入ってしまいました。

ジェイnot監はどちらかを中イキさせないと出られない部屋に入ってしまいました。部屋には媚薬が備えてありますが、使うはどうかは自由です

ジェイnot監はどちらかが鼻眼鏡を付けて写真を撮らないと出られない部屋に入ってしまいました。撮ったデータは持ち帰ることができます。

ジェイnot監はお互いの首にキスマークを付けないと出られない部屋に入ってしまいました。

2023.02.20 21:59

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