更新とか

雛菊サブ見出し

(´・ω・)

よく忘れるのでここにメモる



「あっ、じぇ、じぇいどくんっ」
「ルルさん、もう少し頑張れますか?」
「う、んっ」

 彼女はジェイドの言葉に、なんとか頷いて応える。容赦なく揺さぶられながらも、懸命に反応を返してくれる彼女に、ジェイドは頬を緩めてしまう。乱れた前髪から覗く額に口付けをすれば、彼女はぎゅう、とジェイドに抱き着いた。同時に、彼女のお腹も、きゅううとジェイドを締め付けてしまう。その締め付けに、ジェイドは眉を寄せて、強引に腰を動かした。もう奥に届いているのに、さらに奥を求められるものだから、彼女は悲鳴に近い声を上げる。ジェイドはベッドに両肘をついて、彼女を大きな身体で隠してしまう。そのままガツガツと腰を本能のままに動かして、彼女と共に果てた。いや、果てるはずだった。

 コンコン

 この場面には似合わない軽い音がした。

「んっ、やっ、じぇい……いま、のっ」
「気のせいですよ。ほら、僕に集中してルルさんっ」
「えっ?あっ、ああっ」
「ふふ、相変らずルルさんは喉が弱くて……」

 ナゾの音に、彼女はジェイドの腕の中から出ようとしたが、ジェイドが許すはずもない。ジェイドはよそ見されることが嫌う。長い指先が彼女の喉に触れて、つぅーとなぞった。そうすると、彼女は短く喘いで、じわじわと涙を零してしまう。その反応がジェイドは気に入っていた。このまま、今度こそ彼女の中で……とジェイドが迫り上がってくる快感を逃そうとしたとき、ガンガンと激しく乱暴な音が聞こえてきた。その音の大きさに、彼女はビクッと怯えて、ジェイドに引っ付いた。そこに色っぽさはなく、本能的に安全地帯に逃げ込もうとしているようだった。

「ちょっとジェイド?何してんの?今日俺でしょ?」
「……ふ、フロイドさん?」
「……」

 彼女はジェイドの胸板から顔を上げて、ひょいっとジェイド越しに扉を覗き込もうとする。しかし、それはジェイドに制されてしまう。

「じぇ、ジェイドくん?」
「……ルルさん、少し、ほんの少し、いい子で待っていて下さいね」
「え、え?」

 ジェイドは彼女の頭を撫でて、ゆっくりと彼女の中から自分の欲望を抜き出した。彼女はんんっ、と甘い声を漏らして、ジェイドを不安そうに見上げる。可愛くて堪らない彼女に、二度三度口付けをして、ジェイドは彼女をシーツを被せる。いきなり視界を塞がれた彼女はシーツと格闘する羽目になってしまった。ジェイドはその間に、スウェットを履いて、卓上カレンダーを手に持って扉へ向かった。



 ガチャと音を立てて、扉が開く。しかし、全開ではなく、数センチ開いただけだった。フロイドはやっと開いたのに、すぐに出てこないジェイドに思い切り眉を寄せた。ジェイドはチラッと視線をフロイドではなく、フロイドの腕の中にいる少女へ向ける。その少女はフロイドの胸板に顔を埋められて、後頭部も抑えられている。特に怯えた様子もなく、大人しくされるがままのようだった。どうやら、先ほどのフロイドの言葉や、乱暴な音は聞こえていないらしい。恐らく防音魔法でもかけられているのだろう。

 そのことを確認して、ジェイドは表情を無くした上で、ギロリとフロイドを睨む。フロイドが文句を言おうとしたタイミングで、ジェイドは卓上カレンダーをフロイドに突き付けた。 

「あ?……あ、今日部屋使うのジェイド?」
「ん」

 ジェイドは低い声を出して、顎を動かした。フロイドはちろり、とカレンダーへ視線を向ける。今日の日付のところには、大きく赤で『J』と書かれている。その翌日に、『F』と書かれていた。フロイドは怒っていた表情を引っ込めると、あと言いながら明後日の方向へ向ける。その間も、ジェイドはただジーッとフロイドを睨みつけていた。ジェイドは肌も髪も、しっとりと濡れていた。前髪は額に張り付いて、頬を薄らと赤い。まさに、情事中だった。極め付けに、ジェイドは上半身裸だった。

「ご、ごめーん。邪魔して」
「……もういいですか」
「い、いいです」

 フロイドがコクコクと頷くと、扉はすぐにバタンと閉まった。

「今日はゲストルームにすっかぁ……」

 思わずぼやくと、腕の中で大人しくしていた少女がモゾモゾと顔を上げる。どこか心配そうに自分を見つめる少女に、フロイドは目尻を下げた。

「ん?なーんもないよ。ほら、行こ」
「!」

 ちゅう、と少女にキスをすれば、少女は顔を真っ赤にして、フロイドの腕を軽く叩いた。



「ジェイドくん……あの」
「何でもありません。すみません、途中でしたのに」
「でも……んっ」

 ジェイドがベッドへ戻ってくると、シーツを身体に巻きつけたままの彼女が不安そうにしていた。ジェイドは彼女の頭を撫でて、彼女の唇を塞ぐ。引いてしまった熱を引っ張り出すように、口の奥で小さくなっている舌を絡めとる。んっと唸る彼女を押し倒して、すりすりと舌を擦り合わせれば、彼女はもじもじと足をすり合わせてしまう。

「ふふ……もう一度、ルルさんの中に入っても?」
「う、ん、ジェイドくん」

 来て。彼女が小さな声で、ジェイドを求める。ジェイドは瞳をどろり、と溶かして、彼女に覆い被さった。つるり、とした先端が彼女の足の間へ触れる。そこは、ぬるぬると滑りが良くて、とても熱い。ジェイドはちゅくちゅくと悪戯に先端を擦り付けた。彼女がやっ、と短く声を漏らした。

「ふふ、すみません。今入れますから……」
「はぅ」

 彼女は目を見開いた。分かっていても、何度味わっても、ジェイドが自分の中へ入ってくる感覚に慣れることはなかった。初めの頃の違って、痛みはない。でも、圧迫感はずっと変わらない。内臓を押される感覚に、彼女は息を止めかける。すると、ジェイドの長い指先が彼女の喉に触れる。猫の顎下を撫でる手つきで、優しく撫でれば、彼女は甘い声を上げなら息を吐く。

「本当にルルさんは可愛らしい」

 彼女の弱いところ。特に喉が弱いが首筋全体も、いい反応がよく返ってくる。無防備な腹を撫でてやると、つま先を丸めて、中を痙攣させる。彼女はジェイドに、自分の弱いところに触れられると、とても感じてしまうのだ。ジェイドは思う。生き物として、圧倒的に敗北していることに本能的に興奮しているのだろう、と。普段あんなに、愛だの、恋だの言っている少女が生物としての本能に支配されている図は中々クるものがある。

「じぇ、いどくん?」

 ぼぅっとしているジェイドに、彼女は首を傾げる。

「ああ、すみません。ルルさんが可愛らしくて見惚れていました」
「……」

 ジェイドの言葉に、彼女は顔を真っ赤にして、両足でジェイドの腰を挟んでしまう。恥ずかしがったり、照れたりすると、彼女は足を閉じる癖があった。小さな手がジェイドに向かって伸ばされる。ジェイドはその手に頬を擦り寄せて、そのまま彼女の口元に耳を近付けてやった。

「う、嬉しいんだけど……」
「けど?」
「う、動いてくれたら、もっと嬉しい……です」

 ジェイドはすぐ顔を離して、彼女の顔を見つめる。彼女は両手で顔を隠していた。でも、どちゅんっと強くジェイドに突かれて、その両手は呆気なく外れてしまった。

「あっ、あっ、ジェイドくんっ」
「誘ったのはルルさんですよ……」

 

2023.01.08 20:19

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