その日、誰かが嘘をついた
そこから月は見えません
それは歩く速度で死ぬ
それらを以てあかい唇に翳し
それじゃあ私は先に行くよ
その夜を支配する銀河とは


ヨバナシ
夜気がうるさくわめくのだ
ようやく夜が完成する
この浅ましい夜をどうしてくれよう
向かう先に果たして夜はあるのか
暗闇を囁き沈黙を交わす


確信を消す仕草
理想論とその副作用
自衛細胞のほほえみ
行き過ぎたなぐさみ
酔い問答
仮想分解
睫毛が長くなる度に消滅したもの
後生楽
晩夏のかすがい
マイクロで古びていく天国
面影を越えてしまった時
のべつまくなし世の唾液
涙がこぼれるのに必要な重力


きっと所有欲の介さぬ場所にて
またしても安らかに
季節は懐かしみだけを捨てて
語り継がれなくなった伝説に等しく
窓枠に掛けた手を取って
嘘は見破られるためにあるように
あの日の足音を返すため
朝日は雨のごとく、夢は塵のごとく
溶けぬうらぶれぬと慣れた口振りで


取り返しのつかない年月を経て現れたのは
笑いながら地獄をちらつかせる
残された現実感は退行の道しるべです
いろはにほへとで散っていく
痞える雲の灰色を訊く
ちりぢりになって声を失った
死ぬなら誰も知らないところにしてくれ
ああ、たしかに成功だ
刑罰の最たるはその行為自体であると言う
手近な悪役はおしなべて節度がある
単に完璧ではなかった
好んで横面を殴打する
明日こそ今日を裏切ってくれますように
追い剥ぎに目は要らない
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