「ねえ、今日流星群らしいよ!」


孝介の家でご飯をご馳走になってるわたしは今日友達に聞いたばかりの話を孝介に話すと、ご飯をもごもごさせながら何か言ったけど何も聞き取れない。んぐっと飲み込んだかと思えばすっごいきらきらした目をこちらに向けてまじで!?と興味深々だった。学校では寝てるか食べるか野球するかの三原則で生きている孝介はきっと流星群も耳に入ってたとしても軽く流れているんだろうなあ、と思って言ってみたら案の定嬉しそうにわたしの話にぐいっと身を乗り出してきた。かわいいやつめ。普段はクールとか言われてるけど別に孝介はそんな事なくわたしの中ではただ普通のやんちゃな高校生だ。孝介とは幼馴染で保育園からずっと一緒に過ごしてきていつの間にかお互い好きになってお互い確信をついた言葉はなにひとつなかったけど気付いたら大切な存在になっていた。今では親同士も仲良かったおかげでこうして夜自由にご飯を食べにでかけたりしている。ちなみに孝介の家までは徒歩一分もかからないくらいに近い。


「つー事でさっさと風呂入ってもっかい家集合!」


そういってわたしににんまりと笑顔を向けると、ごちそーさん!と勢いよく食器を流しに入れてお風呂にいってしまった。唖然としてるわたしに孝介お母さんが、なぁにバタバタしちゃってと笑ってた。わたしもご飯をかきこみ孝介の家族にごちそーさま!と言って一旦家に帰ってそそくさとお風呂に入って孝介に連絡をいれると、早く来いと返ってきたから急いでもう一度孝介の家に入り、行きなれた部屋に入ると窓の方を向いてた孝介が一瞬驚いた顔をしてわたしのとこにずんずんと向かってくる。


「おい」

「な、なに」

「なんでそんなに薄着なんだよ、風邪引くぞ」


孝介が羽織っていた薄いブランケットをわたしに投げつけほれ、と手を無造作に握る。・・・あっついんですけど。どきどきするわたしをよそにじゃあ俺ん家のベランダでいいよな!と普通に話す孝介。わたしばっかりいつもどきどきしてて本当にムカつくけどにこにこしてる所を見てたらどうでもよくなった。それからベランダで二人でブランケットを半分こしながら気づけば時間は夜の一時を超えていてふと明るくなった空を見上げてみると数え切れないほどの流星群が流れてきて顔を見合わせた。


「すっげぇ!」

「ねえ!!すごすぎる!!!」

「こんなん初めて見た」

「わたしも!!」


二人でわあっと立ち上がって空を見上げて、きらきらと流れ星がザアッと降り注ぐ空をみて目をつむってお願い事をした。


「名前、なんか願い事した?」

「さっきばっちりしといた」

「何願ったの?」

「秘密」

「ケチだな〜。あ、それよかさ」

「ん?」

「願い事ってのは、〜できますようにとかじゃなくて、〜します!とか実行したように言うって知ってたか?」

「なにそれ初めて聞いた」

「俺のお願いごと聞く?」

「え、うん」

「秘密」

「なにそれケチ!」


さっきの仕返しと言わんばかりににんまりとした孝介が、不貞腐れてるわたしの頬っぺを摘んできたからやめてよと目だけ孝介の方に向けると少し気まずそうな顔をしてたからどうかした?と聞いたら

「名前と、いつか結婚する」

ザアッと降り注ぐ空の下で悠の声だけが響いて星の光に照らされてる孝介は今まで見た事ない位の笑顔でわたしは不覚にも泣きそうになった。


「これが俺の願い事」

「・・・・・・」

「おい、何黙ってんだよ」

「・・・わたしの願い事、叶えてくれるの?」


あの瞬間に同じこと願ってたなんて、本当にばかみたいで奇跡のようなわたしたちだね。照れくさそうにさっきのわたしみたいにばーかと呟いて毛布をわたしの頭に被せてきた。


「ちょっと星見えないじゃん」

「見なくてよろしい」

「もー!これ」


どけてよ、と言おうと思った瞬間に毛布の合間から孝介がするりと入ってきて微かなリップ音を鳴らした。毛布がぱさりと下に落ちると同時に「ご馳走様」と悪戯っぽく笑う孝介がいた。