but there will always be a scar.



元気だけが取り柄。何か嫌なことがあっても次の日にはケロッと忘れてしまうし、ふと思い出すことはあってもあまり引き摺らない性格のわたしなんだけど最近ちょっと悩んでいることがある。


「大丈夫?」

「あ、栄口くんおはよ〜」

「はよー!珍しくため息ついてるね」

「そうなんだよ、けどね」

「?」


あまり人に話すようなことではないかもしれない。と思って隣の席の、優しい栄口くんに喋ろうかと思った口を思わず閉じると栄口くんはどうかした?と言わんばかりの顔をしている。


「んーっとね、悩んでることはあるんだけど」

「無理にとは言わないけど人に話したら楽になることもあるよ」

「神様?」

「はは、大袈裟すぎる」


栄口くんになら話してもいいかな、と誰にも言えなかったことを少しだけ話すことにした。


「実はね、今昔好きだった人にストーカーされてて」

「えっ」

「まあ、そのストーカーといいますか・・・」


その彼に付き纏われ始めたのはつい最近。中学の時に告白をしたんだけどあっけなく振られた苦い思い出がある。そして今は、なぜかわたしに執着している彼。帰り道気づいたら電車にのると隣にいたり、中学の時の友達経由で突然追加されたラインも初めは何の気なしにしてたのだけれど今では付き合ってるみたいなラインがきたり。最近でいうと今なにしてるの?どこにいるの?と居場所の詮索までしてくるようになった。返信しないと電話はかかってくるしで無視もしきれない状況になってきてしまった。まだ実害的なことはないけれど結構これが今私のストレスとなっている。おかげで滅多にニキビができないわたしのほっぺにぽつりと赤いニキビが出来てしまった。


「ストーカーになりつつあるってこと?」

「そういうこと!理解が早くて助かる!」

「でも苗字がフラれたんだよね?」

「そうなんだよ、そこが謎ポイント」

「・・・意味がわからないね」


困ったようにわらう栄口をみて、わたしもちんぷんかんぷんだよ。と肩をすくめる。彼の高校までは把握してなかったから、これで会えるのは最後かもしれないと中学卒業と同時に告白して、あっけなく振られたわたしだけれどその日は少しかなしいな、けど伝えれてよかったなあくらいで眠りについたのをよく覚えてる。今思えば同じクラスにもなったことない彼のことをなんとなくでしか好きになってなかったのかも、と今彼に纏わりつかれてそう思う。


「その彼はどこの学校なの?」

「多分いつも一緒の電車に乗るのと、制服的に隣の駅のところの学校だとは思うんだけど」

「そっかあ。苗字んちって遠いんだっけ?」

「さすがに、栄口みたいに家からチャリは無理かな」

「俺もはじめは電車も使ってたからな〜」

「そうだよね?なんか電車で栄口のこと見かけた記憶ある」

「え?まじ?」

「うん」


綺麗な髪の毛の色してる男の子だなあ〜って記憶に残ってたんだよね。今まで忘れてたけど。そんなこと思っていたら栄口がなにか考え出した。


「え、じゃあもしかして家の方向一緒なのかな?」

「えー!そうかも!」


わたしの出身中学を伝えると隣の中学に栄口は通っていることが分かった。実はどこかで会ってたかもね。なんてくすくす笑う。


「とりあえず、話聞いてくれてありがとう!」

「本当に聞いただけだけど」


なにかあったらいってね、と優しく笑ってくれた栄口はやっぱりとても優しい!