今日エイプリルフールだよ。なんてもう四月になるのに手放せないコタツに二人して寝っ転がりながらなにをするわけでもなくごろごろ。熟年夫婦みたいだね、なんて20代のわたしたちには不釣り合いな言葉だけど。


「そういえばさ」

「なに?」

「俺この間さ、同僚の子に告白された」

「えっ」


思わず持っていた携帯を落とした。寝っ転がりながら見ていたから顔面に直撃してめちゃくちゃ痛かったのにそんな痛がる姿をみて孝介はけらけら笑っていた。許せん。じんじん痛むおでこと鼻を抑えながらじろりと睨めば孝介はまた笑い出した。


「・・ちゃんと断ったんでしょーね」

「あのさあ、さっき自分でなんて言ってたか思い出してみ?」


さっき?そう言われて今日が何の日かを思い出してムカつく〜!!!と孝介の肩を殴った。いってぇなんていいつつも孝介の顔がわたしをばかにしたようなしたり顔だったのでもう一発お見舞いしてやった。


「実はわたしも告白されたんだよね」

「はい、嘘〜」

「むかつく〜!」

「大体、俺のも嘘だって気付くだろ」

「・・だって孝介さり気なくモテるじゃん」

「名前よりはな」


もう1回殴るポーズをしてみればごめんごめん、と本当にそう思ってんのかよくわからないけど一応謝ってくれたから拳をそっとおろした。そんなわたしの頭を撫でながら孝介がちょっと真面目な顔になった。


「結婚しようか」

「そ、そうやってまた嘘つく」

「さあ?」


さあ?ってなんだよ、乙女心を弄ぶのよくないよ!孝介の悪い癖!とほっぺを抓りながら怒るとポケットから携帯をとりだして、待受に表示されてる日付と時刻を指さしてから少し赤い顔をしながら抱きしめられた。多分わたしも同じ顔になっちゃってると思うんだけど。


「もう4月2日だよ、バカ」