じりじりと照りつける太陽がやけに暑い。あの日からわたしは携帯の電源を一切入れずに学校もずる休みして早三日目だ。さすがに母さんがこれ以上休むのは許さないからね!と朝早くに眠気眼のわたしに怒鳴る。うんと小さく返事をして布団をもう一度深くかぶって久し振りに携帯の電源をONにする。つけた瞬間不在着信の通知が何件もきて目を通すとそこには泉孝介という名前ばかりが綺麗に並んでいた。ちょっとしてからメールも何通かきていたが孝介からは一通だけで指定フォルダを開くとシンプルな文面で
"俺、なんかした?"
とだけ書かれていた。ふられたわけじゃないのに涙がぼろぼろと流れてきてどうしようもない気持ちでいっぱいだった。本当どうしようもなく情けなく、でも別れられないわたしが一番惨めなのである。なにかしたってわけじゃないし孝介のせいでもないっていったらなんかおかしいけど勝手にうやむやしているわたしはなんなのだろう。今思えば孝介と付き合ってからは幸せなことしかなかった。それは奇跡なのだと、この気持ちを大切にしよう、全部なかったことにしよう。今まで通りわたしは孝介を好きでいよう。
そう誓ったわたしは孝介に電話をかけた。
「もしもし!?」
ワンコールも待たずに瞬時に出て大分焦ってるのが声だけでもわかる。そんな孝介の声をきいてなんだか安心した自分が居た。
「も、もしもし」
「今までなにやってたんだよ!」
「あの、具合悪くて、携帯切ったままずっと寝てて」
「バカじゃねぇの!まじすげえ心配したんだけど」
「・・・・・・ごめん」
「・・・俺も怒鳴ってわりぃ」
「孝介」
「ん?」
「好きだよ」
「なっ、・・・俺も、好きだぜ」
孝介がそう言うと後ろから「ノロけんな泉!」とやっかみの声がちらほら聞こえて思わず頬が緩んだ。やっぱり嫌いになんかなれない、どうしようもなくわたしは孝介が好きで仕方がない。それから昼休みがおわるまで電話してくれて明日は学校こいよ。と電話は切れた。
孝介を信じよう、そう誓ったのにいとも簡単にその誓いは打ち破られる事になるなんて思いもしなかった。