宇宙のはしか
「この子だって」


友達の携帯に写し出されたオンナノコはどことなくわたしにそっくりなオンナノコだった。全部が全部一緒なわけじゃないけど髪型なんかは孝介と出会った頃のわたしにすごく似ていて胸がざわざわと音を立てた。


あの試合の後わたしはどうしても気になってあの金髪の彼の元へと走った。後ろ姿を見つけて腕をぐん、と引っ張ると彼は「うおっ」とだらしない声を出してわたしを見た。


「え、苗字さん」

「あの」

「は、はい」

「さっきの話、詳しく聞きたい」


そう言うと彼はばつが悪そうに頬をぼりぼりとかいて困った顔をしたけどわたしがあまりに真剣な顔をしていたのか分かったとそのままそこら辺のベンチに二人で腰掛けた。


「まあ、簡単に言うとさ」

「・・・うん」

「アイツの元カノに、似てるんだよ」


せっかく浜田を呼び出したのにわたしはその場から走って逃げてしまった。"元カノ"というフレーズが頭の中をぐるぐるぐるぐると回り離れてくれない。ああ、そうかだから孝介はあの時立ち止まり、わざわざ教室にまできてわたしに声をかけたのか。見てたら好きになってたなんて、元カノとわたしを重ねて言った台詞なのだとも知らずに。友達にその事を泣きながら話すと孝介と元中だという子に聞いてくれたらしく先程の写真を見せてくれた。今はわたしの髪の毛も伸びてあの頃の面影は全く無い。話によるとその子と孝介は中学2年の春から高1の春先まで付き合ってもういたのだけれど学校が違くなかなか会えないのがきっかけになりどちらからともなく別れたのだという。そういえばさ、どこかの研究者がいってたっけ・・・男は女よりも恋愛を引きずるタイプだって。