少しだけ遅れます。とみんなの携帯にメールがきたのはほんのついさっき。今日は野球部のみんなとマネージャーで二年参りでもするか!と年末ぎりぎりまで部活だった俺らは特に予定もなく急遽先程田島たちから電話があって神社で年越しをすることになった。ほんと、俺らっていつも一緒だよなあ、とつくづく思う。
「うっはー!俺腹へった!」
「お、おれも!」
「ったくこいつらの食欲は計り知れねぇな」
「どーすっか、苗字以外はもうきてるしなあ」
「まだ、12時まで時間あるし俺こいつらと屋台見てくるわ」
「おー、よろしくな、泉」
田島達がわいのわいの屋台の方に駆けてく姿を見てみんなもなんだかんだ気になっていたらしく屋台の方へとパラパラといってしまった。
「あ、じゃあ俺苗字がわかるように入り口らへんに立っとくよ」
「ん?そーだな、みんなバラけちゃったしよろしく」
「じゃあ花井はみんなのことよろしく」
「問題は田島だな」
そうため息をつく花井に同意してつい、自分の私情で田島達の見張りより苗字を待つ方を優先しちゃった俺は花井に少し申し訳ないな、と思いながら神社の入り口辺りに立って苗字が来るのを待った。
「あ、栄口だあ!遅くなってごめん」
「全然大丈夫」
「あれ、みんなは?」
「屋台いってばらけてる」
「栄口は…待っててくれたの?」
少し顔を赤らめていう苗字に年末そうそう期待しちゃっていいの?なんて下心ありありの俺は「まあね」なんて返すことしかできなかったけど、ありがとうとにっこり笑う彼女のとなりで新年を迎えれるのならこれ以上高望みはしないよ。
「さ、みんなのとこいこっか」
「うん!」