悠くんが泉くんを見てるなんて言ったあの日から恥ずかしくて出来るだけ泉くんを見ないように心がけたはいいものの好きだと言われたあの日から特に泉くんからの接点もなく本当にわたしのなにを好きになったのかがますます疑問で仕方なかった。
「あー、わけわかんない!」
「この問題むずいよな!ゲンミツに!」
「・・・うん、そうだね」
話の分からない悠くんにため息をついて机の上にあるプリントに目を移した。確かにこっちもわけわかんないや・・・。先生がこのプリント終わらなかったやつは宿題にするからそのつもりでな!って授業が終わる5分前に言うもんだから喋りながらやってたりふて寝していた子達はみんなブーイング。まあわたしもそのうちの一人で隣のもう一人のおバカもその一人。チャイムが鳴り終わって三橋くんが悠くん話しかけにきた。
「た、田島くんは、終わった?」
「終わるわけねーじゃん!」
「お、オレも!!」
「だっよなあ!」
きらきらにこにこと目を輝かせている場合ではない。・・・まあ、わたしもだけど!二人の会話をよそに授業の半分上の空だったわたしはまるで呪文かのように書かれているプリントとにらめっこした。
「あ、泉ー!お願いプリント見せて!」
「はあ?ったくしょーがねぇな」
「サンキュー!」
「泉く、んオレに、も!!」
「三橋もかよ!そんかわり今日コンビニで肉まんな」
「ちぇー」
そういいながらせっせと泉くんのを写す悠くんと三橋くん。ずるいぞーって思いながら見てたらその視線に気付いたのか泉くんが悠くんの席に座ってわたしの方に向き直した。
「なに、苗字もやってないの?」
「泉くんのせいでやれなかった」
「それは意味わからん。つーか孝介でいいっていったじゃん」
「だって、あまり話さないから急には・・・」
「・・・プリントみせてやろーか?」
「え!ほんと?」
「そんかわり」
月曜ちょっと放課後付き合ってよ。どーせ暇だろ?そう言って悠くんたちに次苗字にプリント渡してやって。と声をかけて自分の席に戻ってしまった。え、これは放課後デートってやつ?部活は?ていうかわたしの意思は?まあ結局のところ暇なんだけど・・・。
有り難く泉くんのプリントを写させてもらいながら悠くんに疑問を投げかけてみる。
「ねー悠くん」
「ん?」
「月曜って部活ないの?」
「ミーティングだけだから早く終わる日!」
「へー、そんな日もあるんだ」
「なんで?!部活見にこようとしてた?!」
いや、うーん、あー、と返事に困っていると席についてたはずの泉くんが横に立っていた。
「俺が予約済み」
目をパチパチさせてる悠くんと三橋くんを気にもせず、な!と平然と言うから心臓がいつも以上にうるさい。ああほら浜田くんまでびっくりしてるじゃんか。
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