「好きだ」


高校へ入学して生まれてはじめての告白は同じクラスの男の子だった。目がくりくりしていてほっぺたには思春期の印のニキビ痕なのかソバカスなのかはわからないがとりあえず可愛らしい顔立ちをしている男の子だ。

話は入学したてに遡る。

わたしの隣の席は田島くんという男の子で、初めて喋った時は初対面なのに昔から友達だったかのように接してくれて、俺のことは悠でいいよ!ってにかっと笑ってくれて気さくないいやつなんだろうなって思ったのが第一印象。悠って呼び捨てするのにはまだ少し照れ臭いから悠くんって呼ぶことにした。悠くんは野球部に入るみたいでなんでもすごいやつらしい!俺の活躍する姿見に来てよ!なんてきらきらした笑顔でいうから思わずつられて笑ってしまった。隣の席で悠くんと過ごすにつれてはじめの第一印象プラス、バカは天才と紙一重って言葉を思い出した。


「そういえばさ他にも野球部の人いるの?」

「あそこにいる泉と三橋!」


三橋がすっげーの!!そう言ってわたしには分からない野球用語をぺらぺらと並べて、苦笑いをしているわたしをよそに話を続ける悠くん。ふと視線を反らすと今説明してもらった泉くんとばちっと目があった。


「そーだ!苗字マネジやればいいじゃん!!」

「えー!無理無理!」

「なんで!」

「野球分かんないし体力ないもん」


えー!いいじゃん!としつこく言ってくる悠くんに困っているとふと後ろから低くもなく高くもない声が聞こえた。


「あんましつこいと嫌われるぞ」


その声に振り向くとそこには泉くんが呆れた顔して立っていた。


「ん〜〜、じゃあもう言わない!」

「昼飯かいにいこーぜ。あんたも田島の話なんか聞き流した方がいいよ」


にっと笑って悠くんを教室から連れ出してさっきまで騒がしかったわたしの周りが一気に静かになった。わたしが困ってるのに気づいてくれたのかな・・・。

入学してから三ヶ月くらいの間で泉くんと会話したのはこの日だけ。



その彼に今日告白されました。