「もう課題やだなー… でもなー」


何回かテストで欠点を取ってしまったこともあり先生から課題を出されたのだ。しかも期限は今日までの計3日。それでもってノート三冊分。
ただの先生ならある程度遅れたとしても、てへぺろで何とかなるのだが
課題を出したのはあのアコール先生。遅れてはいけませんよ?と爽やかな笑顔は今でも忘れない…
この課題がなにかと難しい魔法陣と詠唱について。その資料探しのためにここ、図書室を訪ねた。
クルークの話によると、これらの資料は多すぎるから専用の保管庫があるそうな。
図書室に入り辺りを見回す。保管庫だけでも四つ。扉に下がっているプレートには魔導や薬品などが書かれていた。

「ん?これかな。」

プレートに魔法陣・詠唱と書かれた扉がある。
めんどくさいが仕方ない。とドアノブに手を掛けようとしたのだが

「ナマエが勉学などとは…珍しいな。」

その声を聞いただけで胸がドクンと高鳴るのが感じられた。開けようとした手を離し恐る恐る振り返る。
この声は昼には聞けない声であり、この時間、この場所に絶対にいることのない人だ。

「あ…あや?」

「…なんだ。その人を霊のように見る目は」

あやは私の反応に呆れ気にため息をつく。
ここは学校だし、いつもならまだクルークのはずなのに…なんで?と思考を巡らせていたのだが

「何故ここにいる、とでもいいたそうな顔だな。」

「えっ!?なんで分かるの??」
「ナマエは思うことをすぐ顔に出すタイプだからな。」

そういうとクスッという風に微笑む。
わーわーっ…笑った…///
こみ上げる思いを抑え問いかけてみる


「なんでここにいるの?」
「会いたくなった…では不満か?」

「ーっ///」

自身でも感じられるぐらいに頬が熱くなった。
ナニコレッ!!?///今日はデレ日だっけ!??

「それにどこかの誰かさんがテストやら課題にかまけて二ヶ月も放置されたからな」

「はい?」

そういったあやは口角が歪む。そして黒い笑みが顔に浮かびあがってくる。
非常に落ち着いたいつもと同じ口調なのだが、その言葉には無数の棘があり容赦なく私に突き刺さる。
デレ日到来!!?とあがっていたテンションはどこへいったのか。だいぶご立腹の様子に嫌な予感がMAX!!!これはまずい…確かに何かと忙しく会えてなかったがここまでご立腹とは…っ 死亡フラグ★

「えっと…あのそれについては謝るよ… ごめんね?」

返事もなく沈黙が流れる…この沈黙怖いよっ

「悪いんだけど、今日まで待って欲しいな…なんて」

はははっと苦笑いをするものの…空気が重い。

「何故だ?」

「何故って…」

あやはちょっと(いやだいぶ)不機嫌そうな表情で私に問う。腕を前に組んで私をじーっと見る。

「今日で課題の提出日。だから夜になったらフリーになれるし…」

「ならさっさと提出しろ。」

「提出したいのはやまやまなんだが、まだ終わってなくて」

「馬鹿だろ」

「うっ」

シンプルな言葉であるが私の心にグサっと突き刺さる
はあーというため息を吐くと私の腕を掴む。

「いくぞ」

「えっ?どこに???」

クイっと視線で示す先は保管庫。

「さっさとその課題を終わらせるぞ」

「へ?手伝ってくれるの…?」

「ナマエがいないのは退屈であるしな。」


「あ、ありがとう!」

にこっと笑って感謝の気持ちを伝える。嬉しい気持ちでいっぱいだったこともあり
あやの口角が歪む(悪い意味で)ことに気がつかなかったのだ…
「先にはいれ」

「え?あ、うん…」

言われるがまま先に入ったのが間違いだった…
ガチャッという鍵の閉まる音が部屋に響く。そしてあやは扉になにかの詠唱をかけた。

「!?」

あやが扉から離れた瞬間に扉に近づく。ガチャガチャっと開けようとするものの、開く気配は全くない。

「クックック…本当に…ナマエは馬鹿だな。」

「わっ!あや!!?」

気がついたら後ろから抱きしめれられる構図になっていた。
その構図のままあやは私の耳元で囁いた。

「きゃうんっ///」

そのままかぷっと耳元に噛み付く。

「ちょっ…あやっ」

抵抗はするものの力量の差からそれは叶わない。
どうしようと色々考えていたものの考えはまとまってくれる訳がない。

「余計なことなど考えるな」

そういうとあやは私の唇をふさぐ。貪るかのように深く深く絡みつく。
この頭をぼーっとさせる感覚により、私の思考はぴったりと止まってしまう。

「あ…や…」

生理的な涙で目の前が霞む。その霞む視界のなか目に移ったあやは少しそっぽを向き舌打ちをする

「少しで終わらせるつもりであったのに…」

その言葉を発せられた後に今度は首元に歯を立てられる。静かな部屋に幾度も響くリップ音。
首元だけではなく身体のいたるところにあやの唇が触れる。
そのたびにビクッとなり、徐々に自身の口から熱の入った吐息がこぼれてく。
たまたま視線を移した先には課題のノート。それと同時に脳裏に浮かぶ、アコール先生の爽やかな笑顔…

これによりボーっとした脳内を起こすことができた私はブラウスのボタンを開いていたあやの手を止める。

「おい」

不満そうにこちらを見下すあや。でもそれにめげない。

「ごめ… でも課題終わらせない…と だか…ら、お願い…やめ…て?」

肩で息をしながらそう言葉にするが、ちゃんとした言葉になっていない。
体内に渦巻く甘い感覚が私の行動を妨害する。

「そんな顔でやめろと言われても説得力の欠片もない。」

「きゃっ」

そのまま押し倒されてしまった。押し倒されたショックよりも油断していたため倒れた瞬間に頭を強く床に打ったダメージのほうが大きい。

「逆効果だ。ナマエ。課題よりも私を見ろ。他のことなど考える必要もない」

「あや…」

「愛してる。」

そういうとおでこをごっつんとあわせる。
こんなことを言われたらもう他の事なんかどうでもよくなってしまう。


「私も愛してるよ…」

私はそのままあやに身体を委ねたのだった…

――――次の日――――

「じゃあ。この魔法陣の意味はなんですかナマエさん」

「は、はい… えっと生命の誕生ですかね…?」

ヒュン
ガッ

「おうっ」

なんの容赦もなく私に飛んでくるチョーク。このチョークで本日20本目である。
結局あの後あやに流されてしまい課題の提出ができなかった。
それをその日に謝ればよかったものの、課題の存在すら忘れていた私は翌日に先生に言われる前に気づけなかったのだ。
そのせいもあり、指されるのは私だけである。
そして課題を出せなかった罰として新たに三冊分の課題を出されてしまった。
幸せの時間を得た代償としてこの地獄なのかと心に深く刻み込まれた。

この一件があって以来、図書室の前を通るときは必ずため息が零れ落ちた。


-END-



2012/02/21(当サイトup日)
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柴翠様宅にて4696hitのキリ番リクエストをさせていただきました!

あやクルさんがエロ格好良くてもう…!ひたすらにやにやしてしまいます^///^ニヤニヤ


自分が微裏を書くと恥ずかしいやらよく分からないやらでてんやわんやでなかなか上手くいかないので他の方の微裏を読むと凄いなぁ、と思います!


リクエストさせていただきありがとうございました!


 
 
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