犯人は赤い少女

4.犯人は赤い少女


今日も学校はあるわけでのったりのったりと遅めに歩く。
考え事するとゆっくりになる。

流石に近道を通るのはやめた。


結局昨日クルークが教えてくれたことでだいたい分かったけど私が出会ったのは魔物だった。
でも何だかんだいって格好良さげだったのでまあ、いいかななんて思ったりしたんだけどね。


少し謎とか相違点がある気がするけど、元々記憶も曖昧だしクルークの言うとおりあんな超絶な甘党は魔物でない限り有り得ないとも思うし。


うん、なんだかもやもやは消えずに頭の中で居候してる。
さり気なくお茶とお茶菓子を所望してるイメージが沸いて相当疲れてると感じた。

居候の擬人化ってやつかな。
脳内イメージ図クルークだったけど。



「あ、ナマエだ」


ていうか昨日クルークに本紹介してもらうの忘れてた。
今日の読書の時間どうしょうかな。


「ナマエ」


まあ一昨日のこと考察してればあっという間かな。


「お〜い、ナマエ?」


「うわっシグ!?
いつから其処に?!」


「さっきから居た」


考え事しててクラスメイトに気が付かなかったのか…不覚。
またこうなっても失礼だしこの事はまた放課後考えよう。


「ごめんね、ぼーっとしてたから気が付かなかったんだ」


「気にしてない」


「そっかありがと」


シグの顔をちらりと見やるとこちらをじっと見つめていた。

ん?


「何かついてるかな?」


「考え事し過ぎはいけない。無理するな」


肩をぽんぽんと慰めるように叩いてシグは去っていった。


「…へ?」

何事だ?
私が下らない考え事ばかりしてるのはいつもの事だけど、シグが心配かけてくれる程考え込んでたのか?
シグって結構見てないようで見てるからなぁ…


いつの間にか教室の前。
ゆっくりと戸を開ける。


「みんなおはよう〜」

教室からする人口密度からの暖かさに眠気を感じる。
そういえば眠いね。

「ナマエ!」

「おはようございますわ!!」

「ナマエさんおはようございます…!」


「…はい?お、おはよう?」


熱い挨拶返しの後、なんだか凄い囲まれ方された。
珍しく他クラスの人も居る。


「ナマエ、大変だろうけど気にしないでいいんだよ!!愛があればどんな姿だって大丈夫だからね!
で、どこまでいったの?キャーキャー!」


「アミティさんはしゃぎすぎです!ナマエさんが見えません!
ナマエさん!恥ずかしがることはありませんわ!どんなものでも恋というのは皆通る道ですからね!」


「ナマエさん、あの…その、その方の角は素敵でしたか?」



「ちょっと、ちょっと待って!3人同時はキツいって!
っていうか何の話?!ついて行けないんだけど!」


「またまた!一昨日の熱い夜を忘れちゃったのー?キャーキャー」

「ようするに、魔物に恋をしてしまったナマエさん自身の話ですわ!」


「…恥ずかしいです」


……………。

「何でその話をみんなが知ってるんだ!?」


「そういうのは雰囲気で分かるものなんだよ!ね、リデル?」


「ええ、えっと…そうですね!」


そんなふわっとしたもので分かっちゃうものなのか?
いや、おかしいだろ。


「…ナマエ」

「…おはよう今日もいい感じにグレイトだねクルーク」

「…ごほん。まあそれはいいとして。昨日の僕らの話をアミティが聞いてたみたいでね」

ああそれで。


「あっという間に隣のクラスに広まるまでに至ったと」


「まあそうなるね」



前途多難とはこういうことを言うんだと感じたナマエであった。


この熱気が冷めるのはいつになるやら。


*20111125