どうしてこうなった。
学級日誌を書いたり、遊び半分で教室掃除をして放課後をなんとなく過ごしていたらあっという間に真っ暗になってしまった。
真っ暗の中で女の子1人で帰るなんて…と思いになるかもしれないが依然変わらない笑顔を張り付けたままポポイで攻撃してくるアコール先生を目の当たりにした私に今怖いものは無いのだった。
まさかほうきギターライブの背後に悪魔(という名の笑顔の先生)が居るとは思わないよね!
いつも通り近道で森を通る。
鬱蒼としていて、いつ獣や魔物がこんにちは(今はこんばんはの時間だけど)するか分からないけど早く帰って倍に増やされた宿題を処理しなければならないのでそうも言ってられない。
まあ尻尾とか踏まなきゃそうそう襲って来たりしないし、滅多に見かけはしないけどね。
もう少しで森の出口。
そういやその前此処でシグが大量の虫と戯れてたなぁ。
言わずもがな地獄絵図でした。
「ねえ君、そこ君、ちょっといいかな?」
「…何でしょうか」
真っ暗で何にも見えないし、少し警戒体制。
こんな時間に子供が居るとは思えないし。
「なにか、甘い物でも持ってないかな…」
「ごめんなさい、今は持ってないです」
「そっか…
何も考えないで断つものじゃないなぁ…前もこんなになった気がするよ…ふふふふふ…」
かなりアヤシイお人のようです。
刺激しないようゆっくりと後ずさる。
さよなら不審者さん。
「……君のそのほっぺた、もちもちのふわふわでマシュマロみたいだ…唇はいちごグミみたい…あれ、グミの乗っかったマシュマロ…?」
ふふふふふと此方に寄ってくるアヤシイ人。
何でそうなった!
可笑しいだろ!
落ち着いて、そうだよ落ち着こう!
私はお菓子じゃないぞ!
私の叫びも虚しくアヤシイ人は私との距離をじりじり詰めていく。
こういう時に限って退路に大木が。
なんだこの不審者が喜ぶ好条件。
「だいじょうぶ、こわくないよ」
「大丈夫じゃないし怖いわ!!」
もたもたと逃げようとしている間に私の両肩を持ち、後ろの木に縫い付けるように押さえこんでいた。
え、ええ、えええ。
ちょ、まっ…えええ!?
「…いただきます」
ようするに、その…接吻されました。
接吻されて、驚いて相手を殴ってその隙に逃げたこと以外は覚えていないけどそれだけで十分…いやなんでもないです。
*20111002
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