大変な判明事項

2.大変な判明事項


*クルーク目線


今日はレムレスに魔導の成長具合を見てもらえる日。
僕にしては凄くわくわくしてるんだよね。

図書館で待ち合わせだから少し本を読む事にしたんだけど、内容に入り込めない位わくわくしてたり。


しかし、それにしても遅い。
遅刻なんて珍しいな。


「遅れてごめんね、クルーク」

「いえいえ少し位…ってどうしたんですか!?その顔?!」

やってきたレムレスには右頬に殴られたような後があったから流石の僕でも驚いた。


「あはは、ちょっと昨日やらかしちゃったみたいでね」

お菓子断ちしてたんだけどさ、とぽつりぽつりと話出すレムレス。
お菓子断ちのワードに嫌な予感しかしないんだけど。

「森をふらふらしてたら、反対側から女の子が通って来てね。その子にお菓子を持ってないか聞いたんだ」

案の定持ってなくてね、と続ける。


「そこで帰ろうと思ったんだけど、彼女があんまりにも美味しそうなお菓子見えたみたいで…」


「…まさか」


「そう、少し手を出しちゃったみたいでね。それでこの有り様なんだ」

いたた…と頬をさする。


「で、その女の子って誰か分かるんですか?」


「分からないんだ…暗いのもあったし何より記憶が曖昧でね」

ふらふらとしているレムレス。
よろめいて本棚に激突していた。


「…残念ですけど、今日は遠慮しておきます。」

万全ではないようですし。


「…ごめんね、そうさせてもらうよ。じゃあね、クルーク」

ふらふらと図書館を出て行った。
あ、危ない。
また本棚にぶつかってる。


しかしその女の子って誰なのかな。


「やあクルーク、何か面白い本でも教えてくれないかな」

「あ、ナマエじゃないか。
奇遇だね丁度暇になった所だから特別に教えてあげようじゃないか。本当に特別にだよ…って何そのすごい隈」


「あはは、流石クルークだね。ありがとう、じゃあ早速図書庫に行こうか」

「話を聞けよ」

無視したナマエの頬をむにに、と引っ張る。
なかなかいい触り心地


「いひゃいひゃい」

「教えてくれないなら僕も教えない」

「わひゃったよ、わひったからはにゃしてって」

頬をさするナマエ。
本当見てて飽きない奴だ。


「いやちょっと眠れなくてね、完徹しちゃった」

「何でさ」

そこでナマエは一旦動作を止めて手を顎に当てて何か考え込んでから顔を上げた。

「笑わない?」

「物によっては」

「君はすぐ人を小馬鹿にしたような笑いをするからなぁ…ちょっと気がひける」

「いいから早く」


「昨日は日直で帰りは日が暮れちゃってさ、近道に森を通ったんだけど…」


本日2回目の嫌な予感。
まさか…まさかなのか?


「不審者に出会ったんだよ。顔とか見えなかったし、事を全然覚えてないんだけど…あの、その…甘い物がスキって言ってて…ききき…いや、接吻された…」

それが不審者だというのに全然忘れられないんだよ、とこめかみに手を当てて悩むナマエ。

何だかんだいって世界って狭いなと思った。



「…………ふう」

「笑う?」

「笑えないかな」




*20111002