放課後に至っても皆の熱は収まらず、堪らなくなった私は図書室に逃げる事にした。
ここなら騒げまいと思ったけど、その前に皆を巻くのがかなり難しい作業であったのは言うまでもなくという奴である。
面白い噂ほどあっという間とはいうけどカエルにまで絡まれるとは思わなかった。
「…もう大丈夫かな」
「…アナタ」
「うわぅ!キミは確かフェーリだっけ?」
「そうよ」
「最初に言っておくけども、魔物の話はもうしないからね」
「そんなコトどうだっていいの。そんなことよりアナタの運命が問題なのよ」
運命って何か胡散臭いよね。
「私そういうの気にしない人だからせっかく教えてくれても流しちゃうよ」
「…アナタ、ワタシとセンパイの運命をジャマしてるのよ…」
「キミのセンパイ?」
「ワタシのセンパイ…」
フェーリは愛しの先輩を思い浮かべているのかほっぺを薄桃色に染めてうっとりとしている。
しかし、先輩と呼ばれるということは当たり前だけど年上な訳で、私とフェーリは確か同学年だったから私から見てもフェーリの先輩は年上な訳だけど……
私年上の人と、ましてや先輩となんて関わってないしなぁ…
最近はクルークと図書室に籠もりっぱなしだし。
ましてや恋愛とか運命とか言われるようなこともクラスメイトでさえないし…
ん……?
ちょっと待てよ…まさか…
「もしかして、その先輩ってめちゃくちゃ甘いもの好き?」
「そうよ…お菓子が力の源なのよ」
「もしかして最近お菓子断ちしてたりした?」
「…してたワ」
「甘い物が切れると大変なことしでかしたりする?」
「…その前カエルを襲ってたわ」
……………。
まさか…フェーリの愛しの先輩って…魔物…
私もその甘党の魔物さんが忘れられないわけだから人のことは言えないけど…
先輩と呼んでかつ、運命と言えちゃうなんて…凄いなぁ。
「…こここ、恋のライバルってことみたいだね」
「…だから最初からそう言ってるじゃない。」
不機嫌そうに応え、先輩は私と一緒の運命なのよ、と呟いた。
「…ごめんね、ちょっと用事があるから失礼するね…」
「…アナタなんかに渡さないんだから」
まだ喋っていたフェーリを置いてよろよろと図書室へ向かった。
アミティの言ってた通り恋は愛さえあれば良いのかもしれない、とぼんやり思った。
ただ、かみ合っているようで何かがズレていたような気がするけどフェーリってあんな感じの子みたいだし私の思い違いだと思うことにした。
*20111201
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